こんにちは、a-box-of-chocolateです。ついに!「人質解放と停戦合意」で沸くイスラエル!この話はまた別の記事にしようと思っていますが、長い長いトンネルを抜けて、ようやく一筋の光が見えてきた感じがします。
2025年が始まり早くも半月が経過しましたが、イスラエルの新年は10月ですので年が改まった感覚は薄いです。そして昼間はTシャツでも過ごせる暖かさで、凍えるような寒さとも無縁。気候と年中行事って、国民としてのアイデンティティを形成する役割も果たすのだと感じます。
日本人としては、1年の目標はやはり1月に定めたいものです。「今年こそ痩せる」といった類の数十年言い続けている戯言(寝言?)はさておき、、私の今年の目標は、駐妻という特殊な時間を有効活用するべく、「学び直し」に定めました。
「リカレント教育」。途中で投げ出したこと、諦めたことを「学び直す」1年にしたい!
はじめに。「学び直す」といっても、このあとすぐに就職する予定があるわけでもなく、学んだことをすぐに仕事で役立てる見通しもありません。ただ、私が学習したいから学習する。単にそれだけです。駐妻(という名の無職専業主婦)だからこそ、時間があるからこそ、えいや!っと始めたい分野の勉強に、再度取り組もうと思っています。20年前の勉強の続きに、です。
きっかけは、子どもが通っているインターナショナルスクール。アメリカ留学時代の自分を思い出す。
イスラエルに来て、子どもがアメリカ系のインターナショナルスクールに通うようになって、私は思い出したことがあります。それは、「学校の先生になりたい」という夢があったこと。そして大学時代にアメリカに交換留学をしていたときのこと。ものすごく鮮明に思い出すようになりました。
私は教育系の大学を出ているのですが、大学4年のときに西オレゴン大学にて、交換留学生として勉強する機会を得ることができました。というか「大学在学中に、アメリカで教育について勉強したい」という明確な目標があったので、念願かなっての留学だったのです。
在学中は以前記事にしたとおりボロボロで、もう本当に挫折の連続の挙句に激太りと、苦い思い出の方が多い留学時代なのですが、、、当時は自分の英語力にふさわしくない授業を取りまくっていたので仕方ないです。
授業内容を鮮明に思い出せる、留学生活。
そんなへっぽこな語学力しかないのに、「Practicum(現地ミドルスクールでの教育実習準備コース)」や「Childcare(大学構内の保育所での実習)」など、実習系の授業を取っていたのです!ミドルスクールは数マイル先なので自転車で通い、当時は保育にはほとんど興味なかったのに、先輩にオススメされたというだけで保育実習にまで取り組み。要は、怖いもの知らずの若者の特権、という感じで、勢いでなんでもやってみました。
さらに、スペイン語と英語のバイリンガル教育(ヒスパニック系の子どもに英語を教える方法)の授業を取って、ESOLの先生の授業見学にも何度も足を運んでいました。私の英語こそESOLの生徒レベルなのに、なぜかそのクラスのアシスタントに入ったり。今思うと、何もできない学生がクラスにいて、先生も困惑したでしょう…。
もちろん、英語力自体を底上げするために、WritingやLinguisticsの授業も取っていました。大学一年生の必修科目ですら、クラス内のディスカッションに全くついていけない。文法は日本でばっちり勉強したのでアメリカ人より理解できていましたが、聞き取れない、喋れない、瞬発力が足りない、の三重苦。最初の数か月は、本当に惨めな気持ちでいっぱいでした。
AIツールに頼れない時代(2000年代)の留学生活。
子どもが通うインターナショナルスクールでは、グーグル翻訳にグーグルレンズ、とにかくAIツールを活用して、いかに効率よく授業を乗り切るか、という指導方法を取っているのですが、このことに違和感や反発を抱くのは、自分自身の留学生活と比較してしまうからだと思います。
20年前といえば。インターネットは使えましたが、今みたいに光ファイバーの高速接続ではありませんでしたし、分からない単語は電子辞書で調べてメモして覚えていたのです。コロケーション(単語の組み合わせ)辞典は紙辞書を使っていました。ライティングアシストツールもなければ、Wordのオートコレクションもない。よって、図書館に常駐している学生チューター(ネイティブ)に、エッセイのグラマーチェックをお願いしていました。
教科書を一週間で60ページ読む、エッセイやリサーチペーパーを2本書く、ディスカッションに備えてパワポ資料を用意する、などなど。とにかく、勉強してもしても終わらない(なぜなら英語力が足りない)ため、週末は図書館に開館から閉館まで籠って課題をやる。そんなガリ勉の思い出ばかりです。
戻れるものなら当時に戻ってやり直したい、留学生活。
もちろん、楽しい思い出もそれなりにあります。英語がわかるようになった最後のタームはアメリカ人の友人もできたし、授業でのプレゼンもできるようになり、成績も良い評価を得られて、とにかく人間として成長した。そんな留学生活でした。
しかし。教師になるための素養をあまり身につけられなかったのか、もともと私の適性がなかったのか。帰国して、一度は教壇に立った私ですが、一言で言うと「アメリカ帰りの生意気ルーキー」すぎて、日本の職員室に適応できずにアッサリ辞めました…。
「あのとき、ああしていれば」「あの授業で、もっとこうしていれば」。思い返すとやり残したことで溢れているのですが、学生時代が終わっていざ自分の生活が始まると、「あとでもっと勉強してみたい」と思ったことは全て置き去りになっていたことに気づかされます。
ミドルスクールの先生&保護者たちと、ペアレント・トレーニングを通して「学び直す」!
あれから20年の時を経て、自分自身が中学生の子どもの親になり、たくさんの先生たちと関わって行く中で思うのは、「今だったら、もっとうまく学校の先生として立ち回れる気がする」ということ。当時の私は本当に生意気なうえ無礼な新卒だったと自分でも思います。授業や生徒、保護者との関わり方も、とにかく自分の理想が強すぎて、「こうでなければいけない」というあるべき姿を押し付けていました。
中学生の気持ちや振る舞いの根底にあるものを理解し、先生としてどう関わっていったらいいのか?学生時代にも数多くの書物や実習を通して学んだ「つもり」です。ですが、やはり自分が親になってみて初めて理解できることがたくさんあるし、20代の私が思っていたほど中学生は大人ではなく、ただの「子ども」であること。それを踏まえて、親として何ができるのか?
その観点から、子どもが通うミドルスクールでは「ペアレントトレーニング・セッション」を設けてくれています。校長自ら企画している、いわゆる「ミドルスクールの保護者懇親会」。日本の保護者会や講演会はたいてい話を一方的に聞くだけですが、こちらではとても能動的なものなのです!
ほぼ初対面の保護者同士で意見交換をする、アメリカ流の保護者会
11月から始まった、この定期ミーティング。「Middle School Parent Coffee Meeting」というカジュアルさを前面に出した会だったので、軽い気持ちで参加してみたのですが…ちゃんとした「学びの場」でした。初回はアイスブレイクということで、参加者みんなで「自分のミドルスクール時代のBestieについて」語り、「インサイドヘッド2(原題:inside out2)」を視聴。
字幕もなければ、視聴後は〇〇のポイントを踏まえて自分の意見や経験談を述べてください、というメモまで渡されて…!非ネイティブスピーカーは私だけ、という超アウェーの雰囲気の中で始まった保護者会でした…。
このアニメ、日本語で見たこともないので全く知らなかったのですが、例えば主人公がホッケーに夢中になっている点や、活躍を認められて高校生チームと一緒に練習できるという環境など、そもそもの原体験がないと共感できない点も多いし、ほかの保護者が笑っているポイントで全く笑えなかったのも、ストーリーの背景や細かい冗談が理解できないが故。一気に、留学時代の自分に引き戻された気分でした。
ですが!「思春期の子どもが抱える感情の移ろい」「物事に期待するより、諦めの方が大きくなったのはいつからなのか」「親や子ども同士のプレッシャーはどう影響するのか」といった、20年前に知りたかったことを、また英語で学び直せるチャンス到来!!とばかりに、私は前のめりになりました(笑)!
しかも、今の立場は「ただの保護者」。インターナショナルスクールなので外国人だらけですし、英語が堪能かどうか、問題はそこではない環境ですので、とても気が楽です。そこで現役のネイティブスピーカーの先生や校長からアドバイスをもらえ、フランクに意見交換できる。参加費無料。最高です…!
「ブック・クラブ」、いわゆる「輪読会」がスタート。
「輪読会」とはみんなで同じ本を読んで話し合う会のこと。いわば、読書討論会です。校長が選定した本を参加者みんなが事前に読んできて、内容を踏まえてディスカッションする勉強会スタイル。
そして、現在読み進めている本が、こちら。
「Middle School Matters」‐ Phyllis Fagell 著
価格:1756円 |
スクールカウンセラーである著者が、中学生がぶつかる典型的な問題(いわゆる中一の壁)の具体的な事案を挙げて、その解決策、さらに親としてかけるべき声掛けの内容まで、実に具体的かつ実践的な方法を伝授してくれる本です。
日本語訳はいまのところ見当たらないのですが、Mindsetに続く良書!ペーパーバックでほしかったのですがもう販売されていないため、電子書籍版を手に入れました。Kindleでも購入できます。
「友人に対する善い行い」を理解するきっかけを作るために、ボランティア活動や奉仕作業に携わらせてみよう、といったThe Americanな方法も紹介されていますが、アメリカンスクールに通ううえで、先生たちがどんな価値観を持って子どもたちに関わっているのかを知る上でも、とても興味深い内容です。
熱心な先生と、熱心な保護者に囲まれて。「学び直し」でもあり、「新しいことを学ぶ」機会を大切にしたい!
そして今日、ブッククラブが始まりました。集まった保護者の数は20人弱でした。
これまでの人生で、「自分が親であること」について主体的に考えてきたことがありませんでした。「親としてどうふるまうべきか」を自分の体験を踏まえて言葉にして、意見交換をする。「Critical Thinking」=自分で問題解決をできる道しるべを切り開ける思考力を大切にするアメリカらしい保護者会だと思います。
インターとはいえ、参加している保護者はほとんどアメリカ人。正直、100%英語が聞き取れているわけではないし、ネイティブ同士で爆速で盛り上がってる会話には口をはさむ余地もない。自分が言いたいことが英語でスラスラ出てこないもどかしさもあるし、なんなら、ちゃんと考えたことがなくて「言いたいこと」自体がない質問もありました…!「能動的に考える」という活動すら減っていることを自覚できただけでも収穫です。
今回は、「子どもにとって一番大切な/難しいスキルとは」「どうして中学生は嘘をつくのか」「決断力がある子に育てるにはどうしたらいいのか」「What if…子どもと対話を重ねていくポイント」など、漠然とした質問から具体的な行動まで、どの親も知っておきたいポイントについてディスカッション。お互いの悩みや考えを共有することで、正解のない問題に対する答えを見つける作業を積み重ねていけそうです。
中学生の親であることから逃げられないし、この段階の子どもを放置することもできない。
このブックスタディグループの目的は、そのもどかしい時期を一人で乗り越えずに保護者同士、そして教師と連携して乗り越えよう、というもの。目的もその手段も、本当に素晴らしいものでした。異国の地で、母国語ではない環境で中学生時代を過ごす子どもに寄り添うという意味でも、まずは私も同じような環境に身を置いて、人として成長できるような一年にしたいです。
そしていつかまた「先生」として子どもと関われる日が来たときに、この経験が活かせたらいいな…というのが、私の「学び直し」の目的でもあります。壮大な夢物語で終わらぬよう、まずは次回のミーティングまでに本をきちんと読み、オールイングリッシュでも耐えうる瞬発力を鍛えておきたいです…!
PR 英語「を」学ぶことも大事ですが、英語「で」学び、考え、行動するか、という点に踏み込めると、世界が一気に広がります。言語はコミュニケーションのためのツールなので、使ってこそその価値があるもの。まずは日本国内で、とにかく英語環境に身を置いて「留学」してみることも可能です!
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