【続】2025年6月、イスラエル×イラン戦争。テルアビブの今。

こんにちは、a-box-of-chocolateです。ある日突然、イランとの戦争に巻き込まれた日々が始まり早一週間が経過しました

とはいえその前からイスラエルはヒズボラやハマスとも戦っていたので、「急に戦争が始まった」というのもちょっと違う気がしますが。イスラエルメディアには、Israel at War Day 624と表示されています。

常に戦闘状態なのに敵がさらに増えて、いよいよラスボス(イランの地下に眠るとされる核施設)との決戦を控えるイスラエル軍。仲間(アメリカ)がいてもいなくても、自分一人で倒す!という勇者感あふれる猛々しさなのですが…外野の私から見るその様は文字通り「猪突猛進」で、血気盛んな戦国大名のようです。

「打ち首じゃ~~~!!」と敵の本丸に乗り込み、領土を広げて闘争を繰り返していた時代の日本も、こんな感じで激しく争っていたのかなぁと妄想しています。

何の話をしているのか、自分でもよく分かりませんが…イランとの開戦から一週間、私はまだテルアビブにいて、こうしてぼんやりとブログを綴れるほどに平和な環境で暮らしています。

そうです、まだテルアビブにいます。(この件は後述します。)

イランからの弾道ミサイル攻撃ラッシュ、国民の命を守る「シェルター」とは?

イスラエルに暮らして1年。ガザから、イランから、ヒズボラから、そしてイエメンからのミサイル攻撃があると、その都度「シェルター」に逃げ込むのが基本的な防衛です。

ボムシェルターの設置は義務なので、戸建て・マンション問わず住宅やビルに備え付けらています。しかし、小さいアパートや建築年数が古い建物はシェルターがないので、「パブリックシェルター」というところに逃げ込むことになります。

または、街中の地下駐車場や地下鉄のコンコースなども、シェルターの役割を果たしています。

パブリックシェルターの場合は、居住地のにあるので、警報が鳴るたびにそこまで走って駆け込まなければなりません。狭いところに大勢の人が逃げ込むパターンもあるのです。

日本でいうところの「災害避難所」のようなイメージです。

パブリックシェルターの一例。

我が家はマンション生活なので一部屋が「シェルター専用の作り(鉄格子の窓+鉄製の二十扉)」になっています。でも要するに、普通の部屋です(笑)。くわしいシェルター(ヘブライ語でmamad)の基準など知りたい場合は、こちら。

「シェルター」に行くタイミングとは?

先に明確にしておきますが、イランからの攻撃は「弾道ミサイル攻撃」であり、イスラエル軍がイランで行っているような「空爆」ではありません。

頭上から爆弾降ってくる攻撃だったら、逃げるとか逃げないの選択肢はなく、あ、と思ったらもうあたり一面火の海でしょうね…。そうではなく1100㎞以上離れた国から飛んでくる「ミサイル攻撃」なので、発射されたあとから到達までに「数分の猶予」があります。

【その1】絶望の音だと私が感じる、あのダイレクトメッセージ(15~30分前)

スマホに直接届くあのヘブライ語の爆音メッセージは、ホームフロントコマンドから発信される「警報がもうすぐ鳴るよ」という警報。危険が迫っているから今すぐprotected areaに居なさい」という内容です。イスラエル軍は、イラン国内でミサイルが発射されるとすぐに検知できます。

このメッセージは、本当に緊急性が高いときにのみ来るようです。

【その2】レッドアラートアプリから届く通知

Red Alert(Tzofar Adom)は、ホームフロントコマンドと連動したミサイル発射情報がスマホに通知されるアプリです。いろいろな種類がありますが、私はこれを使っています。

【 iPhone 】

https://apps.apple.com/us/app/redalert-alerts-in-israel/id937914925

【Android】

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.red.alert&pcampaignid=web_share

津波・地震警報のようなもので、情報を受信したいエリア設定もできます。設定なしだと全国のアラートが通知されるので、スマホ鳴りっぱなしになります…。

このアプリからも、「もうすぐ警報が鳴るよ」という事前警報が届くプレ通知→「サイレン鳴るよ」という警報通知、という二段階スタイル。そしてほぼ同時に外のスピーカーでも、爆音でサイレンが鳴ります。二段階目は、目覚まし時計と一緒で止めない限り鳴り響きます。

このように、実質三段階でサイレンが鳴っているので、聞こえなかったはずないでしょう!というほど畳みかけてきます。

シェルターには10分はとどまること!

屋外のサイレンは2分程度で鳴り止みますが、そのあとも10分間はシェルターにて様子を見ることが推奨されています。このイラン戦においては、上述のRed Alertアプリから「もう出ていいよ」という通知が来るまで、シェルターに留まるようにという方針です。

ただ、この通知が来たり来なかったり…もう出ていいのか?と迷うこともあります。

この避難手順を、警報通知がくるたびに繰り返すのです…。爆音アラート→眠い目をこすってシェルターへ→爆音サイレン→爆音の迎撃音(またはミサイル直撃音)の無限ループ。

睡眠時間も、メンタル削られる日々です。(そして実際、今も警報後に寝付けずにブログを更新してみたり。)

【危険】ベランダ系野次馬によるスクープ映像…。

さて、ここまで徹底的に「自分を守る手段」が明示されていて、通知や警報を通して市民に安全行動を促すシステムも出来上がっているのですが、絶え間なくXで流れてくる「ミサイル直撃のスクープ映像」。

<例>

こういう動画を撮っている人たちは、メディア関係者もいるかもしれませんが、ほとんどが一般人。警報が鳴ってもベランダに留まり、のんきにスマホ構えてミサイルを撮影しているのです…。花火大会じゃないんだぞ!と言いたい。

こんな命がけのスクープ映像を撮ることに夢中になって、シェルターに逃げ込むのが遅れる→命を落とす危険性もかなり高い、もしくはそういうことをしていたせいでケガを負ったり逃げ遅れたりした人もいたかもしれません。イランからの弾道ミサイル着弾=イベントっぽく捉えている人が一定数いるような雰囲気もあります…。

ものすごく楽観的なことを言えば、「そう簡単に着弾なんかしない、イスラエル軍が迎撃するはず」とみんなが信じていることの裏返し、なのかもしれません。いずれにせよ、なんとも命知らずな人が多くて驚くばかりです。(着弾現場をすぐに見に行く、現地を撮影するレポーター系野次馬もたくさんいます。)

6月20日(金) 一週間の振り返りと、現在のテルアビブの様子

6月13日未明に突如始まった、イランへの攻撃と報復の応酬。まだ一週間、もう一週間、、時系列がよく思い出せないほど、時の流れが異様にゆっくりだった一週間でした。しかし振り返ってみると本当に様々なことがありました。

①退避について

各国大使館や企業が各国民を退避させる流れがある中で、19日(木)には日本大使館がアレンジした「ヨルダンへの退避バス」に乗って、アンマンへ行くこともできたのですが…個人的な事情なので詳細は控えますが、結局テルアビブに残っています。

各国がどんな対応をとっているのか、ポイントは大きく分けて二つ。

①エジプトまたはヨルダンへ、陸路で脱出。

②イスラエルから航路で脱出。

この2パターンです。

【参照サイト】

https://www.euronews.com/my-europe/2025/06/20/more-european-countries-begin-evacuating-citizens-from-israel-and-iran

https://www.france24.com/en/live-news/20250619-govts-scramble-to-evacuate-citizens-from-israel-iran

アメリカ大使館は、超豪華なクルーズ船を手配してキプロスに避難させた、というニュースも見ました。スケールが違います!

私がテルアビブに残った分岐点は、「ヨルダンに行った後、どうするのか」という点での懸念事項が大きいこともあります。

上記の記事によれば、ドイツ、イタリア、ギリシャ、セルビア、ルーマニアなどのEU諸国は、イスラエルやイランを出た後に本国まで帰れる飛行機が手配されていた模様。それなら安心です。

“Member states coordinate the list and we co-finance these flights up to 75% of the transport costs,” European Commission spokesperson Eva Hrncirova told a regular press conference in Brussels on Wednesday. Hrncirova said the E.U. was fielding requests by Slovakia, Lithuania, Greece, and Poland for assistance with Middle East evacuations.

【訳】加盟国はリストを調整しており、これらのフライトの輸送費の最大75%を共同負担している」と、欧州委員会のエヴァ・フルンシロヴァ報道官は水曜日、ブリュッセルで行われた定例記者会見で述べた。フルンシロヴァ報道官は、EUはスロバキア、リトアニア、ギリシャ、ポーランドから中東からの避難支援の要請を受けていると述べた。

https://apnews.com/article/iran-israel-conflict-evacuation-foreigners-a2a39c18766246f11a2d64ae0a61e8c6

20日金曜、ドイツの軍機はどういうわけかベングリオン空港に乗り入れてますが!どうやって空港をこじ開けたのか。イスラエルとドイツ防衛省はどういう力関係があるのか知りませんが、テルアビブまで政府専用機が迎えに来てくれるのは超レアケースでしょう。

私の場合は、陸路でアンマンに無事にたどり着けたとして、そのあとの金銭面や保安面での不確定要素も多かったのです。ラストミニッツでアンマン⇔日本の航空券(片道)を買おうとすると、一人約7000シェケル(28万)が必要。

というわけで、ミサイル飛び交うイスラエルにいるのも客観的に考えると非現実的ですが、自宅すらない外国で長期滞在するのはもっと非現実的。そして日本に帰っても自宅がない私は、日本国内でも滞在費などがかかる…など頭の中でざっと計算して、「とりあえず、様子見」を選びました。

もともと計画していた一時帰国予定もあるし、イスラエル軍が当初に発表した計画なら、あと一週間くらいで軍事作戦も終わるはず…?との期待もあります。

②「様子見」を決断するに値する、テルアビブの様子(20日金曜日撮影)

正直なところ、ものすごく切羽詰まって、今すぐこの国を脱出しないと…!となっていない現状もあります。身内や友人にも「え、退避してないの?」と驚かれてしまってますが、国外に生活拠点がある=そう簡単に移動したり引っ越したりできるものでもないのです。

駐在は旅行や出張ではなく「生活」なので、じゃあ帰ろう⋯ってどこに?と路頭に迷います。

そして、自分の目に映るテルアビブの様子を見ると、「え、いますぐ退避しないとだめかな?」と思う側面があります。日常生活は普通に過ごせていて、特に変わりありません。

テルアビブ中心部の「ディゼンゴフ・センター」。全店舗ではありませんが、アパレル関連含め通常営業を再開しています。

いつもの週末よりかなり閑散としていますが、建物自体にはダメージなどもありませんでした。

ディゼンゴフ・スクエア周辺のカフェも大盛況。

木陰のベンチは、シャバットらしくリラックスする市民で溢れていました。

そのままビーチ沿いまで行ってみました。

必ず現れる、泳いでいるひと。(笑)

サーフィン教室、カヤック教室も開催されていました。

ビーチバレーをして汗を流す市民の姿も。こうした光景はいつもの「金曜日」です。

開いているカフェでゆっくりモーニングコーヒーを楽しみ、ビーチでランニングやバレー、サーフィンをしてリラックス。

えーっと、戦争ってまだやってるんだっけ?終わったんだっけ?と分からなくなるような、「普通の日」を送れています。ありがたいことにスーパーも品ぞろえ豊富だし、カフェやレストランで外食もできる。ウォルトでデリバリーもできます。

私はチキンハートなので、さすがにプールやビーチで泳ぐ度胸はないのですが。「平和な瞬間は、それはそれで今を楽しむ」マインドのイスラエル人を見ていると、なんか大丈夫じゃん?と思えてきてしまうから不思議です。

(あれっ、私もだいぶイスラエル人寄りになってきているかも!?)

③19日夜~20日朝にかけては、警報ゼロだった!

そして。眠れない夜を過ごしていた中での朗報は、まだ一夜だけですが「一度もサイレンに叩き起こされることなく、朝までぐっすり眠れたこと」!金曜朝を最高の状態で迎えられたわけですね、テルアビブ市民。

しかし、イスラエル全土という単位で見ると、まだまだ絶え間なくドローン警報&ミサイル警報が続いています。そして結局、金曜16時ごろの攻撃では、またハイファ市内で直撃して多数のけが人が出ました。

傾向として、イランが狙ってくるところ&大きな被害が出ているところは、たいがいイスラエル軍の重要軍事施設が近くにあるところです。

ちなみにこの16時のサイレンは、テルアビブでも鳴り響いていて、完全に油断しかけたところだったのでドキッとしました…!

25発程度のミサイル攻撃でも、4発が落下。迎撃できてない確率が高まってきている気がします。

そしてイラン側のミサイルもアップデートされていて、弾道ミサイルにクラスター爆弾を搭載したものが打ち込まれているとか。

これまでの報道によると、イスラエル側は、これまでに死者24人、負傷者は270人以上。

イラン側は、死者600人以上、負傷者は1300人近くに上ります。(イスラエル軍はイラン軍幹部を次々と暗殺していますし、空爆を行っています。)

両国ともにホームレスになった人も数知れず。双方あれだけの爆撃を受けて、自宅に住めなくなってしまった人の状況を考えると居たたまれません。そして明日は我が身かも、という戒めです。

これからの動向は、アメリカの出方次第なのか?諸外国の外交でどうにかなるのか?イスラエルは単独でも最後まで突き進むのか???

この大きな流れに逆らうこともできず、一介の駐在妻の私にできることなど何もありません。どっちでもいいから諦めて停戦に持ち込んでくれないかな~と勝手に願ってみたりするものの、不屈の精神で戦うイスラエル軍にそれを願うのは難しいかもしれません…。

冗談抜きで、我が家にミサイルが落ちてないのはただ「ラッキー」なだけ、とも言えますし、一方では自然災害と一緒で、「ミサイルが○○に落ちたという局地的なダメージが、自分の日常生活全体を脅かすものではない」と捉えている自分もいます。

ただし!イスラエルは国土面積が小さく、四国プラスアルファ程度のサイズなのです…。具体例を挙げるとすると、徳島で土砂災害が起きて、神戸に避難する必要があるとなったら、それはもう「テルアビブを脱出してアンマンに車で移動する(約160km)」相当の移動距離ではあります^^;

そのくらいの小さく局所的な場所(イスラエル国)で、これだけ盛大な「戦争・紛争」が起きているという現実が、SFか何か??というくらい、現実なのに現実じゃない感じがすごいです。

しかしながら、会社から退避命令が出た友達(外国籍)と、ある日突然の別れも経験しました。やはり異常事態なんだ、ということは認識できます。

「明日がどうなっているのかわからない」という漠然とした不安は、コロナ禍で感じたものと似ている気もします。一方で、外を自由にウロウロできるし、自宅でも快適にゴロゴロ&リラックスできる「日常」を手放すまでには至っていない。そんな不思議な世界線におかれています。

イスラエルに駐在ということが決まって以来、ある程度のことは想定済み&腹をくくっていますので、この状況も「イスラエル人が誇る逆境に負けないレジリエンス」を見習って、私も耐え抜いていくしかないかなぁといった心境です。

④おまけーこのタイミングで海外にいても、あえて帰国してくるイスラエル人

二重国籍の人や海外旅行大好きな人も多いイスラエル、夏のバカンスや出張で国外にいたら、急にベングリオン空港が封鎖されて、海外で足止めされる事態に。

数万人が帰国待ちとも言われています。

そんな足止めされた国民を救うために、エルアルによる特別レスキューフライトが運航されました。(※自国民のためにだけ空港も特別に開きました)

さらには、クルーズ船で。

外国人が必死に退避について考えてる一方で、嬉々として帰国する国民もいるのです。

筆者

え???

ミサイル飛んできてるけど????

そのまま国外に居るほうが安全では???

世界には様々な価値観があるのだなと、また一つ勉強になりました。

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