こんにちは、a-box-of-chocolateです。12月でも暖房不要、屋外も寒くないため、冬を感じられないイスラエルです。このブログに書きたいことは山ほどあるのですが、(遊ぶ)予定を詰め込みまくって、非常に忙しい駐妻ライフを送っているため(笑)、更新遅れがちです。四国ほどの面積しかないイスラエル、東京都23区の一つよりも小さいテルアビブですが、とにかく見どころ満載で、行きたいところに全部行くには駐在生活の2~3年では足りないかもしれません!
今回の旅レポートは、イスラエルでも特に有名な観光地「死海」。死海には何度か訪れているのですが、ボートツアーで死海を巡ってきた体験について綴っていきます!
死海=浮遊体験だけじゃない!船に乗って死海を遊覧できるガイド付き現地ツアーに参加♪
死海(Dead Sea)といえば、その塩分濃度(約33%)がゆえ生物が住めない湖として有名です。ヘブライ語では、「ヤム・ハメラハ」、「塩の海」という名前です。ヨルダンとイスラエルの間にまたがる、南北に長い湖。イスラエル側にも観光用ビーチはたくさんあります。
ボートツアーは、遊泳可能なビーチ沿岸とはまた別の場所に集合でした。また、今回参加したツアーをアレンジしている事業主はこちらです。
浮遊体験については、私の過去記事をご参照ください。
【注意】ボートツアーの出発場所=西岸地区の一部
テルアビブから死海までは車で1時間半程度の距離ですので、今回も日帰り(自家用車)で行きました。私が自ら運転して!今回のボートツアーの集合場所(Mitspe Shalem)はヨルダン川西岸地区内(パレスチナ領)にあるため、検問所を抜けていく必要があります。西岸地区、いわゆるWest Bankにはイスラエル側の入植地がたくさんあり、今回のボートツアーの出発場所も、その「入植地」に位置しています。(ですので、厳密に言うとイスラエルであってイスラエルではないエリアに面する死海です…。)
余談ですが、西岸地区内を走る車両は、イスラエル人が所有する車=黄色いナンバープレート(全国共通)、パレスチナ人のもの=緑のナンバープレート、と区別されているので、対向車を見ればどちらの車なのか一目瞭然です。今回通ったルートで遭遇した車は、圧倒的に黄色いナンバーの車ばかりでした。
西岸地区内を移動することについて、治安面でやや不安があったのですが、一緒に参加した友人は誰も心配していませんでしたし(認識の違い⁈)、実際、何の問題もありませんでした。しかし訪れる際は、最新の安全情報を確認の上で移動することをお奨めします。
また、この出発場所にはトイレや休憩所などは一切ないので、ここに至る前のPAやガソリンスタンド等で、トイレを済ませてから向いました。
いざ、乗船!
集合場所(駐車スペース)から海岸ギリギリの場所までは、事業主が所有する4WDの車で連れて行ってくれました。砂利道を延々と下るので、自分の車では無理です。
このボートツアーは、船長さんによるガイド付き♪ヘブライ語・英語・スペイン語のいずれかで解説してくれます(語学に堪能!)。
最初はかなりゆっくりの出航で、思いのほか死海が波立っていて、船酔いするかと思いました…。
11月下旬でも死海周辺は非常に温暖で、気温は20℃~22℃。Tシャツでも十分過ごせる気候でした。そして死海の水温は年間を通して20℃~25℃以上に保たれているそうで、全く冷たくありませんでした。10月頃に訪れたら、水着でボートに乗り、途中で泳ぐのもOKだと言っていました!
この景色だけ眺めていると、「死海ってなんて素敵なリゾート!」と思うのですが、環境面で語る死海は、まさに「死にゆく海」とでもいうべき壮絶な状況で、どうにか保護・保存していこうとされている資源なのです。
1年で1メートルずつ水位が減っている?!沈みゆく死海…。
もともと、死海は世界一海抜が低い場所にありますが、その水位は年々減少の一途をたどり、湖自体も小さくなっているそうです…。
左から、1979年、1989年、2011年の衛星写真。どんど干上がって縮小しているのが分かる。現在の形は南北に分断されていて、実質北半分のみが、自然なまま残っている「死海」。青く見えるところは、Dead Sea Worksという国営企業が運営する蒸留池。(カリウムや塩を取り出している)
https://www.britannica.com/place/Dead-Sea
そもそも、死海の水源はヨルダン川。もっと上流を辿れば、レバノンの山間部~イスラエル北部のがティベリアス湖(Sea of Galilee)~ヨルダン川に注ぎ込む水が、最終的に死海に到達しているのです。
1960年代以降、工業用水および飲用水取得のために、ヨルダン川上流から大量の取水が行われた結果、死海に注ぎ込む水量が大幅に減少し続けていったそう。さらには、死海に流れ込む淡水を利用してミネラルウォーターを製造したり、ミネラルやカリウムを取り出して工業利用したりと、産業や人々の生活優先してきたがゆえに起こってしまった、死海の縮小…。1960年代の海抜は400メートル程度だったのが、現在は430メートル。10階建てのマンション一棟分くらいの高さ(30m)が消失してしまったというわけです。近代化と引き換えに、自然環境を失ってしまった典型です。
「死海を守る!」イスラエルとヨルダンによる環境保全に向けた取り組み
これだけ小さくなってしまった死海を守るために、両国は本腰を入れて環境保全に取り組んでいます。
まず考えられたのが、「紅海と死海を結ぶ運河(パイプライン)建設プロジェクト(レッドメッド計画)」!The Red Sea-Dead Sea conveyanceの建設によって、紅海から死海に水を引き込もう…という計画でした。海水である紅海の水を淡水化する→飲料水としてヨルダン側が利用する→残った塩水を死海に注ぎ込む、という壮大さ。しかし、距離が長すぎて建設費用のめどが立たずに頓挫。
そして現在は、鉱物採掘業者への課税強化、新たに水力発電設備を整える計画も推進されているそうです。ハイテク大国イスラエルですから、最先端のテクノロジーを駆使して環境保全に全力で取り組めるはず!と期待したいところです。
なお、死海の水の循環は常に(人工的に)行われているそうで、まるでクジラの汐吹のように淡水がポコポコと出ている(パイプから噴き出している)シーンを見ることができました。
あの手この手を使って、死海の保存に努めているイスラエル・ヨルダンの両国。いつかは消えてなくなる、と言われる死海ですが、この絶景と豊富なミネラルは、後世にまで残してほしいです!
塩の塊に乗ってフロート体験♪
さて、死海の歴史や環境保全に関する説明をたっぷり聞いた後は、アクティビティです!死海の沿岸部には、長年にわたって堆積された塩の塊(まるで地面のよう!)があちこちに見受けられます。
地層の観察、ウォーキングだけではなく、この地層から離れて水上に浮かんでいる「塩の塊」にも、乗ることができるのです!塩塊をビート板代わりに水の上に浮くだなんて、地球上できっと、死海だけでできる体験!
天然の”Dead Sea Mud”(死海の泥)は、硫黄のにおいが!
ミネラルたっぷりで、美容効果も高い死海の泥。泥パックはもはやインスタ映えする観光の一部でもありますが、沿岸部には死海の水をたっぷり含んだ【天然の泥】がたくさんありました。船で沿岸部に近寄っていくと、硫黄のにおいが!硫黄もミネラルの一種なので、自然が作り出す最高の美容パックです。最初にこの泥を身体に塗ってみようと思った人、本当にすごい。
温泉を彷彿とさせる硫黄の香りが立ち込めていて、人も生き物も生息していない「未開の地」、「自然そのままの姿」を見ることができました。(ポイ捨てされたペットボトルが残念極まりない…)
【沈みゆく死海】自然保全について考えるきっかけにも。家族やグループでのアクティビティにオススメ♪
今回は、一年中いつでも楽しめるであろう「ボートでの死海遊覧ツアー」をご紹介しました。ただ泳ぐだけより、断然楽しかったです!!テルアビブから日帰りでも十分に楽しめるアクティビティでした!このボートツアーは、トリップアドバイザーなど大手サイトには出ておらず。冒頭でご紹介したサイトから事業主に連絡を取り希望人数や時間などを伝え、個人でアレンジしてもらいました。私は仲間内12人のグループで参加、ツアーは1時間半で、一人200シェケルでした。価格や時間は、参加人数によって異なると思いますがご参考までに。
これだけ美しい、息をのむような景色を楽しめる死海ですが、その実態はこの記事でご紹介したように、消滅の危機です。大幅な水位低下のせいで死海自体も生存の危機ですが、このツアーの開催地であるMitspe Shalemの地質にも異変をもたらしていています。この地域にあり、かつて死海のNo.1観光地だった「ミネラル・ビーチ」は、陥没穴(地中の塩分が融解して空洞化し、巨大な穴が出現!)のせいで閉鎖に追い込まれています。数千個にも及ぶ穴の出現で地盤が崩壊、人が住めるような土地ではなくなり、ゴーストタウン化を招く…その影響は計り知れません。
絵に描いたような「インスタ映えスポット」である死海ですが、その歴史的背景、水不足、水位低下などの環境問題について触れる機会にもなりました。地元の方のガイド付きツアーは、その土地の本質に触れることができるので、本当におすすめです!
PR 今回ご紹介したボートツアー、主催者もツアーガイド(船長)も、非ネイティブですが英語が堪能で外国人観光客向けにビジネスを展開しています。また、こうしたローカルツアーに参加して解説を理解するためには、参加者側の英語力も高めていくことが大切です!英語がわかると世界が広がる!まさにそれを実感する駐在生活です。語学習得のために難しいことから始めず、まずは中学英語文法を完璧に使いこなせるレベルを目指してみませんか。
コメント