こんにちは。a-box-of-chocolateです。すっかり秋の気候になった…と言いたいところですが、日中はまだTシャツ一枚で快適な11月のイスラエル。今月の私は「リア充月間」と称して、友人と会う予定を詰め込んだり、国際交流会主催の行事に申し込んだり、とにかくスケジュールを埋めて行動的な毎日を送っています。「一日の活動量が少なすぎ問題」を解決するべく笑、とにかく外出する予定を作り、人と会う、話す、そして学ぶ。いわば「人間らしい、社会とつながる生活」を心がけています。
外に出て人に会えば会うほど、思い知らされることがあります。第一に「語学力不足」。第二に「自分の母国(日本)についての知識不足」。特に後者は致命的で、これまでぼーっと生きてきた自分を恨みたくなることも…。「駐在員」といえども「ただの無職主婦」と自認しているものの、他人から見たら「〇〇という国からやってきた外国人」。お互いの国のことを話しているとき、もっときちんと説明できればよかった…と思う場面が多々あります。今日はその視点から、自分の覚書も含め、「もっと知っておくべき日本のこと」についてまとめ、英語での説明の仕方もご紹介したいと思います。
日本の社会保障システム、ハイテク産業、軍事力、宗教…しっかり理解できていますか?英語で外国人に説明できますか?
イスラエル人、特にテルアビブで生活する人は、ヘブライ語と英語のバイリンガルが大多数です。加えて国際交流会に参加する意識が高い人は、英語ネイティブですか?というくらい語学が堪能。加えて博識で、親切で、キャリアも素晴らしい人たちばかり。精力的にイベントに参加しているだけあって、みなさん社交性が高く、多方面にアンテナを張っていて、教養もある。私もそれなりに日常会話に困らない程度に英語が話せますが、「議論」が苦手で、語彙力もなければ知識もないのが露呈してしまいます…。
まず、自国のことも朧げにしか分からない、たとえ日本語でも人に説明できるほどの知識を持ち合わせていない自分にショックを受ける。そこからさらに、外交政策、世界で起こっている出来事、歴史などの「英語での世間話」に入っていけず、聞き手に回って相槌を打つのが精いっぱい…という私の現状。人との会話を弾ませるためには、まず「知識や教養」がないと!という状況を、肌で痛感しています。これまでいくつか参加したイベントや場所の紹介と共に、「知っておくべき日本のこと、説明出来たら議論が弾む日本のこと」を選出していきます。
テーマ①「社会保障制度」
まず、日本における社会保障制度とは「社会保険(年金、医療、介護)」「社会福祉(児童、高齢者、障碍者)」「公的扶助(生活保護)」「保険医療・公衆衛生」の四つの柱のことを指します。この中でも特に、医療保険制度、年金システムなどは、他国との比較などでよく話題になるトピック。正確に英語で伝えるには、ある程度抑えておくべき単語があります。
覚えておきたい!社会保障制度関連の英語表現
社会保障制度=social security system
社会保険= social insurance
国民健康保険= national health insurance
医療保険 = medical insurance
公的年金 = public pension
社会福祉 = social welfare
公的扶助、生活保護 = public assistance
福利厚生 = benefit(年金などの公的な給付金や失業手当等の受給も指す)
補助金、助成金= subsidy、交付金、支援金=grant
英語で説明してみよう!日本の国民皆保険制度と年金制度
まずは手短に日本語でまとめてみます。
「日本の社会保障制度には国民皆保険制度があり、全国民が国民健康保険または勤務先の健康保険組合に加入する。会社員の場合、自身のみならず扶養家族も加入できる。そのため、病院にかかった際の窓口負担は最小限(3割負担)で済む。年金制度については、原則として二十歳以上国民は国民年金または厚生年金に加入するため、65歳以上になると公的年金を受給できる。」
英語で説明するなら、以下のように言うことができます。
“Japan has a universal health insurance system, where all citizens are enrolled in the National Health Insurance or the health insurance association of their employer. If you are an employee, you can enroll not only yourself but also your dependents. This means that out-of-pocket expenses when you go to the hospital are kept to a minimum (30% copayment). As for the pension system, where in principle, all citizens over the age of 20 are enrolled in the National Pension or Employees’ Pension Insurance, and so when you reach the age of 65, you can receive a public pension.”
※dependents=扶養家族、out-of-pocket expenses=自己負担(医療)費、現金払いの経費、copay/copayment=自己負担金
上記は的確な説明ですが、難しいですね~。実はこれ、グーグル翻訳による生成文。英検や入試のライティング課題で書くのであればこの程度の語彙力が必要かもしれませんが、口からスラスラ出てくる語彙力、中学レベルの文法で説明するのであればこちら!
There are two types of medical care insurance systems in Japan. One is the National Health Insurance for self-employed workers, part-time workers, or jobless people. The other is the Employees’ Health Insurance. If people work full-time at a company, not only themselves but also their family members can join the insurance of their workplace. Thanks to this, people only need to pay 30 percent of the total medical costs when they go to the hospital. As for the pension system, people over 20 years old should pay for the National Pension or Employees’ Pension Insurance. And when you become 65 years old, you can receive a public pension.
難しい単語(dependents, copay, enroll, eligible forなど)を使わなくても、十分に意味が通じる説明は可能です!固有名詞はある程度覚えておかないと話せませんが、基本的な動詞(pay, join, receive)、構文(there is/are, when, if)など英検三級程度の知識があれば大丈夫!
比較検証!イスラエルの社会保障制度について~国民皆保険~
続いて、イスラエルの社会保障制度(Bituach Leumi)について調べてみましたのでご紹介します。日本と同様に、イスラエルにも国民の福祉を支援するために設立された社会保障制度があり、労働者やその家族を対象に様々な給付を提供しています。この制度は、主に社会保険、年金、失業保険、健康保険などの分野で支援を行います。なお、イスラエルの社会保障制度は強制参加。全ての労働者(イスラエル国民および外国人労働者)に適用される「国民皆保険」です。ただし、大前提としてイスラエルIDを取得している国民であることが条件です…。外国人でも入れますが、この社会保障システムに加入したいのならば、まずはID取得の条件をクリアすることから始まります。
1. 保険料の支払い
社会保険料は給与天引きで、雇用者と被雇用者の双方が負担します。負担割合は、収入額や雇用形態によって変動し、通常低収入の労働者に対する保険料負担は比較的低く、高収入の労働者には高くなります。雇用者は外国人労働者の医療保険料を支払う義務があり、これにより外国人労働者も医療保険のサービスを受けることができます。また、日本の三号保険システムと同様に、無職の配偶者(専業主婦)は保険料免除という制度もあります。
2. 医療保険
医療保険は公的健康保険(Kupat Holim)を通じて提供されます。この保険サービスは国が指定する民間の健康保険機関が提供し、住民は選択した健康保険機関に加入することが求められます。
日本の健康保険組合は企業ごとに無数に存在しますが、イスラエルには主要な健康保険団体があり、住民はその中から自由に選択することができます。代表的な団体”HMO(Health Maintenance Organization)”は以下の四つです。
- クパット・ホリム・クラリット(Kupat Holim Clalit)
- マクアビ・ヘルスケア(Maccabi Healthcare Services)
- レウミット・ヘルスケア(Leumit Health Services)
- メウヘデット・スケア(Meuhedet Health Services)
HMOの大きな特徴は、保険組合としての機能だけでなく、医師をはじめ医療スタッフを雇用して実際に医療機関を運営している点。最も規模の大きいHMOである”Clalit”は、3万5000人を超える医療スタッフを雇用し、14病院、1500クリニックを運営しています。さらにITシステムで医療機関をつないで、患者情報を共有しています。
なかなか素晴らしいシステムに聞こえますが、要するに自分が加入しているHMOの医療機関を受診することが前提で、まずはGP (General Practitioner)と呼ばれる一般診療ドクター(クリニック)にかかる→紹介状をもらって専門医(内科、耳鼻科、皮膚科、眼科など)にかかる、という手順を踏むため、予約待ちがひどいそう…。医療水準も高く、信頼できる病院も多そうなイスラエルの医療事情ですが、医療資源にアクセスできるまでの手間が半端ない。スピード感をもって診察してほしい人、またIDがない未加入者は、プライベート病院(自費診療)を利用するしかないのです。その場合は超高額になるので、任意保険に加入していていないと大変なことになります!
【外務省ホームページより】都市部は総じて医療水準が高く、外国からのメディカル・ツーリズムに対応している病院も多数あります。医療費は私立病院を中心に高額で、旅行者や短期滞在者は治療・救援費を補償する海外旅行者保険等に加入しておく必要があります。救急外来の受診料は4~5万円程度ですが、入院すると1日あたり一般病棟で15万円以上、集中治療室で60万円以上かかります。なお、救急外来は公的病院にしか設置されていません。また、一般外来は、各病院のメディカル・ツーリズム部門などを介して予約が必要です。専門医の診察は1回につき7~9万円かかります。金・土・祝日は休診なので、緊急時は救急外来を受診します。救急医療体制は整備されており、24時間365日対応していますが、医師や看護師の不足が顕著で、救急外来では数時間以上待たされることがよくあります。ほとんどの医師は英語を話しますが、受付、技師、看護師はヘブライ語またはロシア語しか話さないことが多く、意思の疎通にしばしば苦労します。受診の際は、必ずパスポートを持参してください。電話で101番通報し救急車を呼べば、救急隊員が病状を判断して近隣の救急外来に搬送してくれます。市内の救急搬送は1.5万円程度ですが、料金は、救急車を利用した時間帯、搬送距離、搬送後に入院となるか否かにより異なります。また妊婦の搬送は、5割増しです。
3. 年金制度
イスラエルの年金制度は、基本的に公的年金と民間年金の2本立てで構成されています。
- 公的年金(Bituach Leumiに基づく年金)は、イスラエルに一定期間居住して社会保険料を支払った人々に支給されます。最低でも 10年間(120ヶ月)の社会保険料を納めることが必要です。
- 民間年金(企業年金や個人年金)は、職場の年金制度や自営業者が積み立てる年金です。
年金支給額は、年齢や社会保険料の支払い状況に基づいて決定され、現在の月額は約2,000~3,000シェケル(約8~12万)程度。受給開始年齢は、基本的には男女ともに67歳です。
4. おまけ ~ イスラエルの最低賃金について
国民皆保険、充実した社会保障システムが存在するイスラエルですが、このブログでも何度もご紹介しているとおり、とにかく物価が高く、テルアビブに暮らすと生活費も半端ない!そんなイスラエルで仕事に就けたらいくらもらえるのかも調べてみました。
2024年4月1日より、イスラエルの最低賃金は月額5,880.02シェケル、時給32.31シェケルに引き上げられました。それぞれ日本円に換算すると最低月給235,200円、最低時給は1292円。この水準は週五以上働くフルタイム労働者ベースです。(フルタイム勤務とは「週42時間労働」を指します。)学生、障碍者などの最低賃金は別途定められています。一見すると高めの設定に感じますが、テルアビブ中心部での1ベッドルームのアパートの家賃はおおよそ6,500~8,000シェケル、郊外でも4,000~6,000シェケルほどするので…最低月給=家賃で吹っ飛んでしまう金額でもあります。
ところで2024年のイスラエルの平均月収は、13,297シェケル(約53万円)とされています。この平均給与は地域や職業によって異なりますが、特に高給な分野としてはハイテク、金融、バイオテクノロジーなど月給20,000シェケル(80万)以上の仕事もあります。一方で、教師は8,300シェケル、介護士や保育士は6,500シェケル、料理人(コック)は6,800シェケル…。どの国でも、職業による給与格差がすごいですね。
参照サイトhttps://www.btl.gov.il/English%20Homepage/Mediniyut/GeneralInformation/Pages/MinimumWage.aspx
まとめ:日本もイスラエルも、社会保障制度が整った国。自分の生活を守ってくれる制度について、適切に知っておきたい!
今回は、「社会保障制度=social security system」をテーマに、日本の制度について英語で説明する方法、またイスラエルの社会保障制度についてご紹介しました。医療制度に関しては、日本でも外国人労働者に対して健康保険・厚生年金保険に加入させるという点は同じですが、国民ID番号(いわばマイナンバーカード)がない人は不可、という厳しい条件はありません…。その点では、日本の方がはるかに寛容なのかな?と思います。逆に言えば、イスラエルは「自国民」を守り増やすための保障や手当が豊富です。IDを取得した国民になれば、国に尽くす(徴兵)代わりにからそれなりに恩恵がある、とも言えるでしょう。
このような社会的常識や制度については、ぼんやりと理解はしているものの、他人に言語化して分かるように説明できないことを一つずつクリアにしていきたいなと思っています。繰り返しになりますが、英語で円滑なコミュニケーションを取るためには、人間としての中身(知識・教養)が大事なのです!次回はイスラエルのお家芸「ハイテク産業」に焦点を当てたいと思います!
PR 今回、私が書いた「日本の社会保障制度」の英文は、英検3級レベル、中学レベルの英語で十分に表現できる範囲です。世界の英語話者の8割は非ネイティブ。難しい単語を覚えるよりも、中学英語を完璧にすることが「スラスラ話せるようになる」近道だったりします!
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