こんにちは、a-box-of-chocolateです。7月になりました。相変わらず日中のテルアビブは30度を超えていて暑いですが、日陰はとても心地よく、朝夕の風はカラッと乾いていて、バルコニーに出るのが気持ちよい天気です。この記事も、自宅バルコニーよりお届けしています。余談ですが、イスラエルは高層マンションが多く、どの家庭もバルコニーのカスタマイズをとても充実させていて、きれいな植物、座り心地のよいソファーやカウチセット、テラス用のテーブルセットがあります。イスラエル国旗をはためかせている家も多数。我が家にも(備え付けの)デッキチェアセットがあり、地中海を眺めながらぼーっとするのが、日々の癒しです。
さて今回のテーマは「イスラエルID」。イスラエルに入国するまで、私はこのIDのシステムを知らなかったのですが、、、非ユダヤ人&外国人の私は持てないこのカードについて(需要あるかわかりませんが)ご紹介したいと思います。
【画像出典】
Teudat Zehut (Hebrew: תעודת זהות )
強引にカタカナにするとしたら、「テウダット・ズィフット」のような表記でしょうか。直訳はまさに「IDカード」。普段、外国人としてイスラエルで生活しているうえで、この番号がなくても大丈夫なのですが、なぜこの番号の存在に気付いたかというと、よく使うスーパーの会員登録ができなかったこと!
מוֹעֲדוֹן?としょっちゅうスーパーで聞かれて、おそらく「会員証ある?」と聞かれているのだろうなと推測していた通り、「モアドン」=クラブ、の意味。せっかくならポイント貯めたり割引利用したいなと思って、会員登録を試みたのですが、、、上の画像にある「ID」=イスラエルIDのことなのです。
ちなみに画像で英語表記されているところは、元々は全部ヘブライ語です。グーグル翻訳で英語にしてサイト確認をしています。
ID番号取得要件・方法・使い方
16歳以上のイスラエル国民はIDナンバー(9桁)の取得・カードの携行義務があるそうです。このカード、そして番号はいったいどうやって取得するのだろうと、気になって調べてみました。
イスラエル内務省のウェブサイトにてオンライン申請
基本的に、なんでもオンラインで事足りるイスラエルの手続き関係ですが、このIDの取得も内務省のウェブサイトから簡単に申込できます。イスラエルIDを取得する必要がある人=①16歳以上で初めてIDを取得する人、②移民(オリーム)、③IDカードを紛失した等、再発行する必要がある場合です。最初のIDは無料で取得できるようですが、再発行には135NISかかるようです。
①については、この国に生まれた子どもに関する申請なので、Population and Immigration Authority(人口・移民局)に両親どちらかのIDを持参のうえで、最寄りの役所に出向いて申請するようです。予約はオンラインで取れますが、結局は役所に本人が行く必要があります。
私は②かな?と一瞬思いましたが残念ながら違います・・。この文脈で言う「移民」とはAliyahによってイスラエルに移住してきた者(New Olim)のことで、私のようなexpartriate (駐在員)は含まれません。サイトによると、ベングリオン空港で仮のID番号が発行されると書いてあります…!入国した瞬間からイスラエル国民になる準備は始まっているのですね。全く知りませんでした…。
イスラエルに移住するためのハウツーは、オンラインでもとても詳しく説明されています。一世一代の覚悟(推測)でイスラエルに移住・帰還することを決意したユダヤ人は、煩雑な手続きも多くて大変だなと思います。
ID番号に含まれる情報(Wikipediaより)
- Identity number (Mispar Zehut) comprising nine digits, the last of which is a check digit calculated using the Luhn algorithm
- Full name (surname(s), given name(s))
- Filiation (the legal ascendant(s))
- Date of birth (both civil and, unless otherwise requested, Hebrew date as well)
- Status
- Sex
- Place and date of issue (both Gregorian and Hebrew dates)
- Portrait photo (in color)
- Previous name(s) (if applicable)
- Status (citizen, permanent residency, temporary)
- Name, birth date and identity number of spouse and children(s) (if applicable)
氏名や誕生日、性別などの情報はもちろん、家族の情報、離婚・結婚歴、ビザ(査証)内容まで全てが詰まったIDカード。内務省管轄なので、いわゆる戸籍管理や移民管理のためにも国民のデータを把握しているのでしょう。役割的には、日本のマイナンバーカードとほぼ一緒だと思います。取得方法の似たようなものですね。
この9桁のIDカードは、日常生活では建物やモールに入場するときに提示する、上記のような会員登録に使う、さらには免許取得や更新、やパスポート申請などにも使えるようですので、イスラエル国民にとってはとても大事な番号で、暗記して覚えているそうです。ちなみに私はパスポート(PDFにしたもの)をスマホに保存しているので、何かIDを、と聞かれたときはそれを見せています。私は見た目がどう見てもイスラエル人ではない、オリームですらないと判断されていると思われるので、ショッピングセンターの出入り口等ではID見せろとは言われたことありませんが、カードを提示している人を見かけたことは多々あります。
生体認証(指紋登録)を搭載したIDカードも登場しているようなので、万能な身分証として使えるあたりは、日本の免許証と同じくらい有効なのかなと思います。マイナンバーカードも同じ役割を果たせるのだと思いますが、財布に入れて持ち歩いている人はどれくらいいるのでしょう。
ちなみに、私がイスラエルIDを取得することはできるのか?というと、以下の条件があります。
Can anyone get Israeli citizenship?
Israeli citizenship is granted at birth to those born in the country, provided that at least one of their parents is an Israeli citizen. For non-Jewish foreigners, obtaining citizenship through naturalization is possible after residing in Israel for a minimum of three years with permanent residency status and showing proficiency in Hebrew.
(訳)イスラエル国籍は、両親の少なくとも一方がイスラエル国籍である場合に限り、出生時にイスラエルで生まれた人に付与されます。非ユダヤ人の外国人の場合、永住権を持ち、ヘブライ語に堪能であることを証明してイスラエルに最低 3 年間居住すれば、帰化によって国籍を取得できます。
ハードル高い!!!
イスラエルの免許証を取得するときには、誰もがイスラエルIDが必要!
さて、基本的に非ユダヤ人である外国人は、ID番号もカードも付与されないのですが、免許証を取得する際には、どうしてもこの番号が必要になります。ちなみに、現在はイスラエル滞在一年目なので国際免許証(日本で発行してきたもの)を使用していますが、この免許証で運転できるのは、一年限り。
正式名称は「国外運転免許証」(東京都の例)、私も警察署で取得してから出国しました。手数料は2,350円です。車に乗るのは最低限の生活をしていますが(イスラエル人の運転が荒すぎて怖いので(笑))、やはり免許があってよかったなと思います。
一年以上経過すると、イスラエルの免許証に書き換える必要があります。(自国で五年以上の運転歴がある場合のみ可能です。免許取得日で証明できるようです)
日本の自動車運転免許証からイスラエルの自動車運転免許証への書換手続
- Bring an original passport and visa to one of the licensing bureaus throughout the country.
- The licensing office will issue the applicant a fictive ID number that begins with the numbers 89.
- Once the ID number has been issued, an online form Application for Obtaining a Driver’s License
ということで、運転免許取得のためだけに発行されるフェイク(架空)ID番号を取得する必要があるとのこと!この架空番号でスーパーの会員登録ができるかわかりませんが…。あらゆる場面でこのID番号が必要になってくるのです。アメリカのソーシャルセキュリティーナンバーのようですね。
Teudat Zehutはイスラエル国民であることの証明。IDを持たない駐在員への恩恵は、ないに等しい。
さて、イスラエルIDについて、つらつらと綴ってみました。冒頭でも述べた通り、外国人として駐在生活を送る上ではあまり必要ではないもの、と割り切ってしまえばそのとおりなのですが、イスラエル国民にとっては、日常生活から行政手続きまで、このIDナンバーはとても大切なものです。ナンバー取得者=イスラエル国民、というロジックもあるのかもしれません。逆に言えばIDナンバーによって国から管理されているようにも感じますが。
テルアビブには街中のあちこちに、“Digi Tel”登録に関する看板があるのです。デジタル版の市民カードみたいなものですね。日本の住民票のようなものは存在しませんが、オンラインで市民登録ができるという魅力的なシステム。市営のスポーツ施設、公共のビーチ、さらには駐車場など、市民だと割引が受けられる特典があるので、登録したい!と思ったのですが。
会員登録ページには運転免許証、パスポート、という文字も見えるのですが、いざレジスターに進むと、9桁のイスラエルID入力画面になるのです!どこか会員登録が可能な場所に自分で赴き、パスポートを持っていけば登録できるのかもしれませんが、、、ここでいうところのパスポート=イスラエルのパスポートのことでしょう。私はしょせん、一時的にこの国にいる外国人なので、なんでもかんでも入口からして排除されている感が強いですね(笑)。
ちなみに会員登録に関して、よく行く別のスーパー(Tiv Taam)については、カスタマーセンターに連絡をしてみたら、とりあえず電話番号だけクラブメンバーに紐づけしてもらえました。イスラエルIDがないのだけどどうしたらよいか?と問い合わせてみたところ、パスポートナンバーでも大丈夫かも、とのことだったので私のパスポートナンバーを伝えて試してもらいましたが、やはり登録できない、ソーリー、という返信が…。個人の識別番号にここまで振り回されるとは思わず、なんだか非イスラエル人は無力だな~なんて思ってしまいました。外国人として生きていくって、時に切ないです…。
Identity Card。たかが番号、されど番号。イスラエル国民としてのアイデンティティが、この9桁の数字には込められているのかもしれません。そんなことを感じる駐在妻なのでした。
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