ぶらり散歩日記 in Tel Aviv 【グラフィティアート in Florentin編】

こんにちは、a-box-of-chocolateです。いつもブログをご覧いただいている皆様、ありがとうございます。私はワードプレスを使ってブログを運営しているのですが、前回の投稿後、突然の不具合で新規投稿も過去記事の編集もできなくなり…最終手段、ブログのテーマも全て変更しました。少しずつ作り込んできた外観の変更も余儀なくされ、ショックです…。

ド素人運営なので、ソースコードの知識なども持っておらず、手探り運営です。どうにかまた投稿再開できるようになったので、また細々と続けていきたいと思います。

さて、今回ご紹介するのは、【テルアビブ市内のグラフィティアート(Graffiti Art)】。一見、街中にあふれる壁の落書きに見えるのですが、実は有名なアーティストによる【作品】が多数点在しているのです…!

アーティストが集う街・テルアビブ。Graffiti Artのメッカ、Florentinでストリートアート鑑賞♪

今回私が紹介するグラフィティアートは、ガイド付きツアーに参加したときに得た情報は見聞きした内容に基づきます。

まずは、場所について。「Florentin(フロレンティーン)」というエリアは、テルアビブの南部にある一部地域の名称です。

ここは、Jaffa(ジャッファ)と呼ばれる旧市街地のすぐ北側に隣接する地域です。ジャッファは、もともとはアラブ人が多く暮らす土地でしたが、あとからやってきたユダヤ人たちが自分たちのコミュニティを作ろうとして北上した=テルアビブが誕生した、という歴史的経緯があります。初期の移住者が住んでいた土地=フロレンティーン。とても歴史がある街で、古い建物も数多く残されています。

テルアビブ市内の旧鉄道を動かしていた鉄塔。まだ現役で送電線とつながっている!

ちなみに、現在のフロレンティーン~ネブ・ツェデクあたりはオシャレカフェやレストランも多く、若者の街!という雰囲気でとても活気あります。かなり狭いエリアなので、徒歩でぐるっと回れます。

グラフィティと、ストリートアートの違いとは?

英語のGraffitti(グラフィティ)は、日本語にすると「落書き」の意味。日本で見かけるグラフィティは、商店街のシャッターや駐車場の壁などに無断で描かれた絵をイメージするかと思います。基本的に、公共物や他人の敷地での落書き=器物破損(=to vantalize)になってしまうかと思いますが、フロレンティーンでは「アート作品」として成立しています。

そもそも、街中にある「絵」は、落書きなのか?アートなのか?その違いをまとめます。

項目ストリートアートグラフィティ
定義公共の場に描かれるアート作品全般壁や公共の場にスプレーやマーカーで描かれる文字やタグ
主な目的景観改善、社会問題の提起、観光スポット化自己表現、共同体意識、反体制的な意味合いが強い
スタイル壁画、ポスター、ステンシル、インスタレーションなど多様主にスプレーペイントで描かれる文字・シンボル中心
作者プロのアーティストが多いアンダーグラウンドのアーティストやグループが多い
合法性許可を得て描かれることが多い許可なく描かれることが多く、違法とされる場合が多い
代表的なアーティストバンクシー、JR、シェパード・フェアリータキ183、コーンブレッド、フェーズ2
一般的な評価現代アートとして認められ、ギャラリーなどにも展示される非合法な落書きと見なされることが多いが、文化的価値も認められる

ストリートアートは広義の「街中のアート」であり、グラフィティはその一部とも言えますが、特に「タグ(署名)」「ワイルドスタイル(入り組んだ文字)」といった形式はグラフィティ特有のものです。近年では、両者の境界が曖昧になりつつあります。

グラフィティアートに寛容なエリア、フロレンティーン。

今回のガイドツアーは、Park HaMesilaという旧線路沿いにある遊歩道を巡るところからスタートしました。

このテイストの絵が、延々と描かれている
壁という壁は、全て埋め尽くされている。古い絵は上書されるらしい!

この通りは、自転車で何度か通ったことがあるのですが、これらの絵を見た第一印象は、「あれ、ここは治安が悪いエリアなのかな…?」と思いましたが、テルアビブ市民の憩いの場だそうです!グラフィティアート=治安の悪さに直結しがち、という私の固定観念は、見事に壊されました。

そもそも、このエリアは居住者がグラフィティアートに理解がある人ばかりで(というか、理解があるからここに住んでいる!)、うちにも何か描いてほしい!と思っている人が多いとのこと!消すどころか、どうぞどうぞ描いてください、というスタンス。アーティストも、許可を取らずに自由に表現できるというwin winな関係が築かれているようです!

アーティスト紹介① ID (Imaginary Duck)

「ID」という文字=作者のサイン

↑の写真は、何度も見たことがあるのに素通りしていたグラフィティアート。Imaginary Duck (ID)と名乗っている女性アーティストの作品です。

筆者

【Julia Shtengelov】

IT分野で働いていたJuliaが、ほかに何かチャレンジできることがあるのでは?と思い立って始めたことが、ストリートアート!赤いキツネの絵と、黒髪の女の子の絵は市内のあちこちで見かけます。

https://www.instagram.com/imaginaryduck77?utm_source=ig_web_button_share_sheet&igsh=ZDNlZDc0MzIxNw==

https://www.facebook.com/imaginary.duck

3Dアート。立体的な作画が特徴
IDというアーティストの作品の特徴を知ったあとは、市内のあちこちに描かれていることに気づいた

アーティスト紹介② Dina Segev

植物の絵⁺ヘブライ語のメッセージが特徴

IDの作品の隣にある、Dina Segevの作品。小さいですが、彼女のサインも書かれています。

25年以上美術の先生として働いていたDinaがストリートアーティストに転向したのは、「この世の中のこと、自分の思いをもっと表現する方法」について模索していたことがきっかけだそう。ヘブライ語で書かれている部分は歌詞だそうで、Dinaソングライターとしても活動しているそうです。

筆者

Dinaのメッセージを検索してみました!筆者のヘブライ語力は不確かですが、頑張って読んだとおりのヘブライ語をGoogle翻訳に入力してみた結果↓

אשת חיל כבר כאן היפהפייה הנרדמת ערה ממזמן רק שנקים ונבחר דרוש שים נםיז בשיתוף פעוכה ועולם ממתוקן

【英語】The brave woman is already here, the sleeping beauty has been awake for a long time. Only we will rise and be chosen. We need to be united, we will spread the word, and the world will be improved.

【日本語】戦士の女性はすでにここにいます、眠れる森の美女はずっと前から目覚めています、私たちが立ち上がって選択するだけです、私たちは彼女の協力を得て、そして改革された世界を動かす必要があります。

フェミニズムっぽさも感じ取れる、女性の立場についての力強いメッセージが込められています。

様々なアーティストたちの「コラボ」作品も多い。

アーティスト紹介③ Nitzan Mintz × Dede Bandaid

建物の外観一面に描かれたコラボ作品。めちゃくちゃ目立ってます!

NitzanもDedeも、テルアビブ生まれのアーティスト。公私ともにパートナーである二人がコラボレーションしたこの壁画は、ひと際目を引く存在です。二人ともIDFでの兵役が終わったあとからアーティストとして活動しています。

Nitzan Mintzは、自分が子どもの頃のトラウマ(家族の自殺)を乗り越える手段として、そして自己表現の手段として、詩を書くことと、それを絵にすることからグラフィティアーティストになった女性。上記写真では、右側半分を占めるヘブライ語モチーフのメッセージが彼女の作品です。(アーティスティックすぎて、何て書いてあるのか判別できず。)

Dede Bandaidは、子供の頃から問題行動を繰り返し、社会への適応に苦しんだ経験の持ち主。「傷ついた自分」を癒す手段として絵を描いているそう。Nitzanと通じるものがあります。傷を治すもの=バンドエイド、というわけですね。彼の作品の特徴として、壊れたもの、瓦礫、不用品などを用いる手法を取っています。写真にある絵も、壊れた家電のようなものや、倒壊した家などが見られます。

Dedeの他の作品。バンドエイドが無数に広がる

フロレンティーン界隈の作品まとめ

ガイドツアーでは、一つ一つの作品について、作者紹介および作品に込められた意味を丁寧に解説してくれました。もっとご紹介したいアーティストもいるのですが、詳細は割愛して作品のみご紹介します。

The Missk

黒い太字の枠線、三つ目を携えたキャラクターの絵が特徴的な、The Missk。Keren Misskという女性アーティストの作品です。鍵をしょっちゅう失くしてしまう= the missing key からアーティスト名を付けているそうです!

レゴのキャラモチーフの絵を描くJames Ame

イギリス生まれのartist, Ame72。子どもの頃に夢中になったおもちゃ・【レゴ】からインスピレーションを受けて、レゴに登場する”LEGO GUY”をモチーフにした絵を描いているアーティスト。”The Maze”という作品は世界最大のステンシルアートとしてギネス記録認定されているそうです。

Rachel and the cookies

ハマスとの戦争が始まった2023年10月7日、レイチェルさんの自宅にもテロリスト集団が侵入。その時彼女は、ハマスの戦闘員とアラビア語で会話し、彼らを「ゲスト」として自宅に迎え入れ、クッキーと飲み物を提供してもてなした―そうして彼女は人質にされることなく生き延びた。という逸話があるそうで、そのレイチェルさんをスーパーウーマン( “Rosie the Rivetter”)としてモチーフにしたのが、この絵です。

超ファンキー!なアートギャラリー
We are What We Want
Don’t panic! The IDF protects us 
Rotem Zamirの作品
可愛らしくて、前向きな気持ちになれるデザインでした!
27 Club graffiti in Tel Aviv

27歳で逝去したミュージシャンの肖像画を描いた「27 Club」。ヨナタン・キス・レヴ(John Kiss)の作品です。

まだまだ進化を続ける地区、フロレンティーン!グラフィティアートは『表現の自由』の象徴的存在。

さて、今回ご紹介したグラフィティアートは、合法・非合法のグレーゾーンの作品もあるようですが、フロレンティーン一体が、グラフィティやストリートアートに対して文化的に許容しているため、そのことについて目くじら立てる人は少なそうです。

工房やギャラリー、工場なども多いエリアで、地元の人も、観光客も、このエリアを訪れることを楽しみにしています。そして上記でも紹介したとおり、政治的・社会的な問題提起をする作品も数多く存在します。戦争、平和、人権、ジェンダーロールなどなど。メッセージ性の強い絵が多く、見る人に訴えかけるものがあります。自分の主義・主張をためらいなく表現できるってすごいです。

テルアビブはリベラルな都市で、こうした若いアーティストのエネルギーが満ち溢れる文化や芸術に対する寛容さも群を抜いています。正直、私は自分の家にこのような絵を描かれたらよい気分はしない派なのですが(保守的かも?)、この雑多でカラフルな街並みが「芸術」として昇華されているあたり、世界各地からの移民によって構成されている都市であることを再認識する瞬間でもあります。

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