こんにちは、a-box-of-chocolateです。今回の記事では、夏休みの旅行で訪れた街・「ミツペ・ラモン」についてご紹介したいと思います。英語表記はMitzpe Ramon、日本語では「ミズペ・ラモン」と表記されていることもあります。
ネゲヴ砂漠に囲まれた街:ミツペ・ラモン。イスラエル南部は広大な砂漠地帯!
イスラエルの南部を占める「ネゲヴ砂漠」は、ごつごつとした岩で形成された広大な荒野で、サラサラの砂が舞い上がっている…という砂漠のイメージとはまた異なります。「ミツペ・ラモン」は、テルアビブ市内から南におよそ200km、車で2時間半程度の距離に位置しています。人口はわずか5500人程度なので、市町村区分で言ったら「村」と言っていいほどの規模ですが、砂漠地帯のオアシスのような小さな街です。「ラモンクレーター」と呼ばれる特殊な地形を観察できることで有名で、街自体が標高860mの高所に位置しているので、朝夕はヒヤッと涼しいエリアです。
上記の地図からもわかるように、イスラエル南部は「茶色い」「乾燥した」土地ばかりで、さらに隆起が激しく、平野がありません。今回は車で旅行したのですが、よくこんな砂漠の中に国道を通したな~!と感動してしまうような、果てしなく曲がりくねった道(しかも信号も全くないから爆走可能!笑)の果てに、突如として「まち」が見えてきた!!という興奮を味わえます!
ミツペ・ラモン ビジターセンター
街についてすぐに目に入ってくるのが、ビジターセンター。まずはここで、ラモンクレーター(マハテシュ・ラモン)についての基礎情報などを学べます。
実は…我が家は入口付近で涼んだだけで、中に入っていません…。センター内部では、イスラエル宇宙人飛行士・コロネル・イラン・ラモンさんについての展示や解説もあるようです。上記のサイトから事前予約も可能です。窓口でも入場券はすぐに購入できそうでした。料金は大人28NIS、子ども14NISです。
このビジターセンターは、「ラモンクレーター」という浸食によって出来た地形の崖っぷちにあり、眼下にはクレーターの内部が広がっているのです!ここから展望台まで歩いていくことができます。
ラモンクレーター(ヘブライ語でמכתש רמון/Makhtesh Ramon)とは?
「クレーター」と聞いて私が真っ先に思い起こすのは、月のクレーターのような隕石が衝突して巨大な穴のことだったのですが、ここでいうところの「クレーター」は、川の水の流れによる浸食によってできた地形です。イメージとしては「お椀」のような形状です。クレーター=お椀の真ん中。すっぽりとえぐれてなくなって、空洞化。崖(残された山の部分)=お椀の淵、と言ったところでしょうか。遠目から見ると、このクレーターを囲む崖はハートのような形をしているそうです。数億年もの地殻変動や気候変動によってもたらされた、奇跡のクレーターなのです!詳しくはWikipediaの解説がわかりやすいです。
展望台には、椅子で場所取り&爆音で音楽を楽しむ先客がいたため、、、チラッと下をのぞいて撤収しました。こんな大自然を眺めながらのchill out、最高のリラクゼーションでしょうね~。
クレーターの底部分にもきちんと道路が通っているので、車で通行することができます。グーグルマップでみつけた「colorful sand park」で停車してみました。
公園というか、、ただの空き地?トレッキングコースの一部っぽい感じでしたが、グーグルレビューにあるような「水のオアシス」は姿かたちもなく。赤っぽい砂と青っぽい砂はなんとな~く見つけました。
崖の上と、このクレーターの部分では、気温が全く違いました!クレーターの方が猛烈に暑くて、砂漠をじかに体験しているんだな~という実感がわいてくるほど。ミツペラモンはトレッキングでも人気な土地らしく、ビジターセンターでもらったパンフレットには、一日5リットルの水を持ち歩きましょうと書いてありました…。
夕焼けや星空も、ロマンチックなほどに綺麗!星空保護区であるミツペ・ラモン
さて、日中の猛烈な暑さ(クレーターは35℃近い)から一転して、日が落ちるころになると一気に涼しくなります。私が滞在した日は、日没後には気温25℃に!夕涼みという言葉がふさわしい快適な気温でした。風が吹くとちょっと冷えるほど。
ミツペラモンは、星空観察の名所でもあります。空気が乾燥しているうえに、夜は真っ暗、街の明かりもほとんどないので、肉眼でもくっきりハッキリと、満点の星空を見渡すことができました!私のスマホでは星の写真は撮れなかったのですが、、、天の川が肉眼でキレイに見えたのはとても感動的でした。
ミツペラモンは、中東では唯一のInternational Dark Sky Reserve Places(星空保護区)に選出されています。星空保護区とは、人工的な光による”光害”を防ぎ、暗くて美しい夜空・星空が見える環境を保護・保全を推奨していく場所のことです。ラモンクレーターと暗闇とが一体化したような美しい場所なので納得です。
star observatoryで検索すると、たくさんの観測スポットが出てきます。星空見学ツアーなどもあるようです。我が家は、昼間に行ったラモンクレーター展望台の近くにある、ランドルーム天文台(というかただの公園と広場)に行ってみました。崖の端の方に行けば行くほど、クレーターに近づけるので、漆黒と呼べるほどの暗闇が広がっていました。
観光の街・ミツペ・ラモン。宿やレストランは十分!!
5000人規模の小さな街ですが、ホテルやレストランも十分にあります。が、営業時間がグーグルマップに掲載されているものとは違う!という店舗が多く、行ってみたら夜からしかやっていなかった、、週末しかやっていなかった、、と肩透かしを食らった店舗もありましたので、事前に十分に確認が必要です。とはいえ、車で数分走れば別の店に簡単に移動できます。個人的には、HaHavitというお店の食事がとても美味しかったです!(地元の人にも勧められました)
宿泊施設やレストラン情報は、こちらのサイトで紹介されています。(英語)
我が家はibexに泊まりました。十分に広く、清潔感があってよかったです。オーナーが作る朝食もとってもおいしかったです。ちなみにアイベックスとは「野山羊」、立派な角が特徴的な大きなヤギの仲間です。まるで街中にもたくさんうろついていました。ラモンクレーターにも、野生のアイベックスがたくさん生息しているそう。
クレーター見学は、4WBジープツアーがおすすめ!
ラモンクレーター(Makhatesh Ramon)は、国立公園です。クレーターの内側(谷)を見学するには、自家用車で走ることは(物理的に)できませんので、オフロードタイヤを積んだジープツアーに参加するのがおすすめです。周辺のネゲヴ砂漠を自転車で回るコース、トレッキングコース、グランピング体験など、クレーター周辺でのアクティビティは様々。オフロードコースを走って見学できるツアーも数多くありますが、今回はトリップアドバイザーからAdam Selaが主催する二時間コースに参加しました。1グループ当たり$275、日本円にして40,000円少々とややお高めではありますが、完全プライベートツアー、自分では絶対に行けない場所にも連れて行ってくれるので、お値段以上の体験ができます!!
ツアーガイドさん(お名前を忘れてしまった…)は、英語かヘブライ語で解説してくれます。宿泊しているホテルまでお迎えに来てくれる&約束の時間ぴったりに現れました!
まず最初に向かったのが、マハテシュ・ラモンの地層がくっきりと見える場所。
上述したcolorful sand parkでは、砂の色の違いがいまいちわかりませんでしたが、この地層は断面が奇麗に見学できるポイントでした!赤っぽく見えるところはヘナカラーのごとく、自然界にある染料として使うことができるそうです。ちょっと手でこするだけで、指が褐色に!
ガイドさんによると、「砂漠」を定義するものは地質学や地理的条件ではなく、「降水量」だそうです。年間200mm以下の降雨地帯=砂漠なので、ネゲヴ砂漠は岩石砂漠の一種として定義されるとのことでした。サハラ砂漠やゴビ砂漠のような、サラサラの砂が舞い上がる=砂漠、のイメージがありますが、ゴツゴツした岩場だらけのネゲヴ砂漠も、立派な砂漠!
ジープはどんどんオフロードコースに突入していきます。昔、クレーターの掘削工事をしていた名残りで、整備されている道も残っているそうです。
道なき道をどんどん突き進み、クレーターの崖部分に登りました!
クレーター全体を見渡せる場所にも連れていってくれました。この辺は数億年前までは海底だったゆえ、アンモナイトや貝殻の化石がたくさん埋まっているそう。私たちは見つけることができませんでしたが…。地層の歴史、地学、地質学と、知識も運転技術も豊富なプロガイドさんでした!
ラモンクレーターには、アイベックスの他にレオパードやジャッカル、シロエリハゲワシなど数多くの野生動物・野鳥が生息しているそうです。全く雨も降らない土地で、水が干上がって枯れてしまうような痩せた地質ですが、ところどころ緑色の草がきちんと生えていて、アイベックスは野草を食べて水分も摂取しているそう。日本では見たことがない動物に遭遇すると、イスラエルにいるなぁと実感する瞬間でもあります。
こちらのジープツアー、帰りはホテルまで送ってくれます。プロの解説を聞きながらのツアーは本当に楽しかったです!ところどころのフォトスポットで家族写真を撮ってくれたりとサービス精神も満点でした。
大自然を満喫できる街、ミツペ・ラモン。イスラエルのいいところが詰まっています!
テルアビブ市内は、前回の記事でもご紹介したように、「絵に描いたような近代都市」です。一方、ネゲヴ砂漠周辺は未開の土地というか、自然がそのままに残っていて、車で数時間走るだけで、まるで異国に来てしまったかと錯覚するような、見たこともない世界に足を踏み入れることができます。オフロードツアーでお世話になったガイドさんは、以前はテルアビブに住んでいたけれど、ミツペラモンの自然に魅了されて移住したと言っていました。ショッピングモールなどはないので、ベエル・シェバまで出ないと服も買えないよ!と冗談交じりに不便さを語っていましたが…(笑)
都会の喧騒や汚染された空気、ビルとビルの間の地熱にうんざり…となった時、静寂と大自然に囲まれたミツペ・ラモンで癒されたい!という気持ちは、イスラエル人にとっても同じなのかもしれません。
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