こんにちは、a-box-of-chocolateです。日本国内では、あちこちで40度に迫る高温を記録しているようですね。7月初旬のテルアビブ、最高気温は33度くらいですので、気温だけで言うとイスラエルの方がまだ過ごしやすいように感じます。ただし日差し&太陽の照り返しがかなり強く、紫外線がガンガン降り注いでいるのを肌で実感します…。ビーチやプールで過ごす時間が圧倒的に増えて、こんがり日焼けしまくっている、、、そんな夏です。シミやソバカスが気になる年齢ですが、もう仕方ない!と割り切ってます(笑)
さて、今回のテーマは「ハイファ(Haifa)」というイスラエル北部の都市についてです。イスラエル国内では第三の都市とも言われている場所について綴っていきたいと思います。
エルサレム・テルアビブに続く第三の都市・ハイファ(Haifa)
イスラエル国内では三番目に大きい都市ですが、それでもハイファの人口は約28万人です。規模的には小さく感じてしまいますが、地中海沿岸のとても美しい街でした。テルアビブからは高速道路沿いにまっすぐ北上していくこと1時間ちょっとで着きます。市内にはカルメル山(Mount Carmel、標高546メートル)あがり、坂道が非常に多い街並みでした。徒歩や自転車での移動はけっこうきつそうです…。
GPSシグナルがコントロールされている都市…GPS jammingがひどい!
先に述べておきますが、ハイファはレバノンとの国境にもわりと近いため、ハイファ北部の軍事施設はヒズボラからのドローンやロケット攻撃のターゲットにもなっている地域です。
ハイファ市内では行ってみたい場所がいろいろとあったのですが、軍のコントロールによるGPS妨害(jamming)がひどすぎて、GoogleもWazeも(どちらも地図アプリ)、全く使い物にならないのです…。
こちらの記事に紹介されているとおり、昨年10月の戦争開始以降、ミサイル攻撃の対象位置を攪乱する、および敵の戦闘機の位置情報を誤らせるなどの目的、要するに国防のためにGPSシグナルが妨害されている可能性が、極めて高いのです…。
それゆえ、けっこう頻繁にベイルート(レバノン)にいることになっているのです。。。テルアビブ市内にいるときは、そこまでGPS jammingが起こることはないのですが、実はキプロスに行った時もほぼずっとベイルートにいることになっていたので、レバノンに近いエリアは、GPSを頼って移動することは困難を極める、という旅行者泣かせの事態が発生しています。
Googleマップ自体は開けるのですが、ナビゲーションが使えない。初めて訪れる街で、ナビが使えない無力さよ…。私が子供の頃は、車での旅行=紙地図が当たり前でしたが、スマホが使えないと何もできないのは悲しすぎました。もはやアナログなやり方のほうが、確実性が高いのではと思う出来事でした。
ティコティン日本美術館(Ticotin Museum of Japanese Art)
ハイファ市内に着いた瞬間、ベイルートにいることになったGPS…時折正常な位置に戻ってきていたので、その隙に目的地の一つである「ティコティン日本美術館」へ行きました!入場料は大人35NISです。
美術館の名称は、コレクションを寄贈してこの美術館を建てた人の名前だそうです。ドイツ系ユダヤ人、フェリックス・ティコティンさんによって1960年に建設された、中近東唯一の日本美術・文化専門美術館として存続しているそうです。
Japanese Design Today
現在、新しい大型展示”Japanese Design Today”を開催中、それを見に行ってきました。
日本ではお馴染みのフォルム、デザイン、平成レトロと感じるものから最新鋭のものまで、数多く展示されていました。コロナ対策の防護服、ラテックスグローブ、体温計など、時世の流れを反映するものもありました。
国内でも見たことがなかった(知らなかった)作品や、デザイナーさんの魂がこもったクオリティーの高い家具などもあり、外国に来て初めて知る自国の文化、という視点に立っても、非常に興味深い展示でした。ユーザーの目線に立った、使い手の気持ちを考えたデザイン=日本の文化、とも言える気がします。思いやり、おもてなしの心は、日常的に使うものにも反映されているのかなと。
「体験型展示」もありました。日本語(漢字)を水ペンで書いてみる、というとってもユニークな試み!昔、こういう水ペン&下敷きセットを持っていたなぁと懐かしく思い出しました。
この展示ルームに来ていた訪問者に話かけられて、「わ~上手!」とほめてもらいましたが、そりゃそうです、ネイティブ日本人です、と盛り上がりました。(笑)日本人なのに日本文化の展示に来るって珍しいね?とも聞かれたので、「イスラエル国内で日本っぽいところがここだけだから来てみた。日本を感じるために!」と回答しておきました。(笑)どうやって書くの?あなた、美術館のスタッフ?なんて声をかけてくれた人もいたので、書道を通して現地の人と交流するのも楽しそうだなぁと思いました!
その人たちはハイファに住んでいて、この美術館の展示がすごく興味深くて何度も来ている、と言っていたので、日本文化に関心がある人がイスラエル国内にもいるということを実感できて、なんだかうれしかったです。
イスラエルにおける日本語教育
ところで、イスラエル国内には、日本人学校や補習校(いわゆる日本人の子女向けの学校)はありませんが、大学では日本語を専攻できるコースもありようです。
高等教育
高等教育では以下の大学が次のとおり、学士課程にて日本語教育コースを展開している。
- (1) エルサレム・ヘブライ大学人文学部アジア学科日本語教育コース(3年間)
- (2) テルアビブ大学人文科学部東アジア学科日本語教育コース(3年間)
- (3) ハイファ大学人文科学部アジア学科日本語教育コース(3年間)
- (4) テクニオン・イスラエル工科大学一般教養課程日本語教育コース
- (5) バール・イラン大学一般教養課程日本語教育コース
- (6) テル=ハイ・カレッジ人文社会科学部東アジア学科日本語教育コース(3年間)
学校教育以外
学校教育以外の機関としては、次の機関が日本語コースを開設している。
https://www.jpf.go.jp/j/project/japanese/survey/area/country/2022/israel.html
- (1)ハイファ市立ティコティン日本美術館市民講座日本語コース(3年間)
- (2)民間語学学校「アジア・インスティテュート(旧称:ジャパン・ナリッジ)」(初級・中級日本語コース・私企業における日本語コース(半年~最大1年間))
- (3)民間語学学校「Japanese Center」
- (4)民間語学学校「Japaneasy」
- (5)民間語学学校「Yapanology」
今回訪れた、ティコティン美術館をはじめとした民間の日本語コース、そして大学での専攻コースもあるようです。世界的に見たら、日本語もわりとマイナー言語の部類に入る(日本人のみにとっての母国語)&通じる国が日本国内のみ、という点では、ヘブライ語とはある意味での共通因子を持っている…ように思います。逆に、ヘブライ語⇔日本語のバイリンガル、双方の文化を理解できる人材って、ものすごく貴重ですね…!
バハーイー教の聖地・バハーイー庭園
美術館を後にして、すぐ裏にある「バハーイー庭園」を見に行きました。ティコティン美術館で出会った人もオススメしてくれた、バハーイー庭園。ハイファで一番美しい場所!と言っていましたが、そのとおりだと思います。
ここは、、、本当にイスラエル国?と錯覚するような、なんともエスニックな雰囲気の庭園と、奥に広がるハイファ港。庭園の緑、海の青さのコントラストが非常に美しく、ずっと眺めていられる景色でした。
この庭園の中に入場するには、ツアーに参加しなければなりません。個人での訪問が許されるのは、この門の手前まで。ここに入るまでにもゲートの前でセキュリティチェックがありました。ツアー参加は無料ですが、事前予約が必要。時間と集合場所が決まっていて、ドレスコードもあるようです。ヘブライ語、ロシア語、英語のガイドがあります。今回はちょうどよい時間に英語のツアーがなく、入場は断念。上から見下ろすだけとなりましたが、それでも圧巻の景色でした!
バハーイー教とは?
こちらのバハーイー庭園、「バハーイー教」という宗教的な施設なのですが、私はイスラエルに来て初めてこの宗教の存在を知りました。
バハーイー‐きょう〔‐ケウ〕【バハーイー教】
《〈アラビア〉Bahā’ī》19世紀後半、バーブ教の分裂後、神の啓示を受けたイラン人バハーウッラー(本名ミールザ=ホセイン=アリー)の創始した一神教。世界平和、男女平等、偏見の打破、貧富の格差の除去、教育の重視などを唱える。聖職者を置かず共同体を結成して活動する。日本には明治42年(1909)伝来。本部はイスラエルのハイファ。イスラム教から派生したが、イスラム教は異端と見なす。バハイ教。
https://kotobank.jp/word/%E3%83%90%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%BC%E6%95%99-604032#:~:text=%E3%80%8A%E3%80%88%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%93%E3%82%A2%E3%80%89Bah%C4%81’%C4%AB,42%E5%B9%B4%EF%BC%881909%EF%BC%89%E4%BC%9D%E6%9D%A5%E3%80%82
イランで創設されたイスラム教系の宗派ですが、迫害を受けてイスラエルのハイファにたどり着いた一族が、カルメル山に世界本部を造ったことが起源だそう。イスラエルにおいては少数派の部類です。
2008年には、世界文化遺産登録もされていました!確かに、後世に残したい美しさ。
バハーイー教についての歴史的背景についてはあまり深く知りませんでしたが、またの機会にバーブ廟の内部にも入ってみたいと思います。
カルメル修道会の総本山・ステラ・マリス修道院
今回はGPSの問題もあって訪問できなかったのですが、カルメル山にはキリスト教系の修道院もあります。
ステラマリス=「海の星の聖母」のことで、聖母マリアの古来の呼び名だそう。【出典:Wikipedia】
私は宗教に疎すぎて、カルメル会という宗派のことも知りませんでしたが…。バハーイー教と同じく、この「カルメル山」は宗教的な意味合いで、巡礼者にとって非常に重要な場所、ということを知りました。無知の知モード全開で恐縮です…。
イスラム系ドルーズ派の街・ダリヤット・エル・カルメル
ハイファの南東20kmほどの場所には、これまたイスラエル国内では少数派民族・ドルーズ派のアラブ人(母語はアラビア語)が暮らすコミュニティがあります。ドルーズ人は人口の2%にも満たない少数派ですが、ハイファ周辺の22の村に集落をつくり、約12万人が暮らしていると言われています。
カルメル山にあるダリヤット アル カルメルは、イスラエル最大のドゥルーズ派の集落です。地元産の農産物、自家製の珍味、そして伝統的な陶器(カーペット、食器、家具など)で満たされた活気のある市場で有名です。地元のギャラリーでは、一見の価値のある美しい手作りの工芸品や芸術作品が展示されています。 1840 年代に建てられたディスカルド カルメル会修道院、エル ムフラカもぜひ訪れてください。https://www.elal.com/magazine/en/portfolio-items/travel/northern-israel/7-druze-villages-northern-israel
多文化・異宗教を感じられる街・ハイファ
前述のとおり、カルメル山は【●●派の総本山】としての位置付けであったり、宗教的少数派が暮らすコミュニティがあったりする一方、中東唯一の日本文化を紹介する美術館も存在する。そんなマルチダイバーシティに富んだ魅惑的な街です。
ほかにも行きたかった場所として、ジャーマンコロニー、ハイファ美術館など、芸術スポットが数多く点在するハイファ。日帰りドライブ(しかも道に迷いながら)では、すべてをゆっくり回ることは難しいほどに見どころ満載でした!テルアビブから1時間あれば行けるので、次はもう少し宗教的・歴史的背景について詳しく知ったうえで訪れてみたいなと思っています。
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