【2025年5月1日☆イスラエル独立記念日】徹底解説!歴史・日付が毎年変わる理由&現地での過ごし方!

こんにちは、a-box-of-chocolateです。4月、5月はホリデーや記念日(祝日)が続くイスラエル。4月23日の日没~24日は「ホロコースト・メモリアルデー」として、午前10時にサイレンが鳴り、全国民が一分間の黙とうを捧げました。(ヘブライ語で、「ヨム・ハシャア」と呼ばれる日です)
そして今週(4月30日~5月1日)は「独立記念日」。ユダヤ人にとって大切な「メモリアルデー」だらけの春、それぞれの記念日について解説していきたいと思います!
目次
イスラエル独立記念日とは?
2025年5月1日は、イスラエル建国を祝う特別な祝日「イスラエル独立記念日(ヘブライ語で「ヨム・ハアツマウト」)です。建国から77周年を迎える今年も、イスラエル全土が青と白の国旗で彩られ、盛大に祝われます。
遊歩道、車道、どこもかしこも「国旗&市の旗」だらけです。
イスラエル独立記念日は、ユダヤ人の長い歴史と苦難、希望の再生を象徴する国民の重要な祝日であり、毎年数多くの祝賀行事や特別イベントが開催されます。
この日は毎年変動するのも特徴ですが、その理由や独立までの道のり、現地の過ごし方についても詳しくご紹介します。
イスラエル独立記念日の歴史と由来|建国までの背景とは?
ユダヤ民族のディアスポラとシオニズム運動
イスラエル建国に至るまでには、ユダヤ民族の2000年にもおよぶ離散(ディアスポラ)の歴史がありました。
紀元前の古代イスラエル王国滅亡や70年のローマ帝国によるエルサレム陥落以降、ユダヤ人たちは世界各地へと散らばり、それぞれの国で困難な時期を経験します。しかし歴史の中で、彼らは「約束の地」パレスチナへの帰還を願い続けてきました。
19世紀末、ヨーロッパ各地でユダヤ人への迫害が強まる中、「ユダヤ人国家をエレツ・イスラエル(現在のイスラエルの地)に再興しよう」とするシオニズム運動が始まります。多くのユダヤ人が希望を抱き、パレスチナへの移住とコミュニティ作りを進めました。
イスラエル独立宣言と中東戦争
第二次世界大戦では600万人以上が犠牲となるホロコーストを経験し、国際社会にユダヤ人国家の必要性が認められました。
冒頭で紹介した「ホロコースト犠牲者を追悼する記念日(ヨム・ハショア)」は、ヘブライ暦ニサン(Nisan)月27日にあたり、毎年グレゴリオ暦(西暦)の日付が変わります。2025年はニサン27日が4月23日の日没~24日にあたり、80周年でした。
参考:
https://memoirs.azrielifoundation.org/yom-hashoah/
そして1947年、国際連合はパレスチナ分割案を採択し、ユダヤ国家建設が国際的に支持されます。翌年、1948年5月14日、ダヴィド・ベン=グリオン(初代首相)がイスラエル国の独立を宣言しました。
この直後、イスラエルは周辺アラブ諸国の攻撃を受け、第一次中東戦争(独立戦争)が勃発します。国民総動員の苦しい戦いの末、イスラエルは独立を維持し、念願の主権国家として新たな歴史を歩み始めました。
イスラエル独立記念日は、この歴史的な独立宣言とその日に込められた「希望」と「再生」を祝う日でもあります。
なぜイスラエル独立記念日は毎年日付が変わるのか?|ユダヤ暦と祝日ルールを解説
というわけで、現在の西暦で照らし合わせると、イスラエルの独立記念日=5月14日なのに、なぜか今年は5月1日にお祝いするのです…。その理由について詳しく解説していきます。
ヘブライ暦(ユダヤ暦)とは?
イスラエル独立記念日は、日本のように西暦(グレゴリオ暦)固定ではなく、ユダヤ教の伝統に基づくヘブライ暦(ユダヤ暦)で定められています。
そのため、西暦での記念日の日付は毎年変動します。基本的にはヘブライ暦の「イヤル月5日」がイスラエル独立記念日に相当し、2025年は5月1日がその日に当たります。ヘブライ暦は、一か月の日数が29日間または30日間ですし、”〇月の△番目の日=□□の日”と決められているため、それを西暦に当てはめると毎年違う日付になってしまう、というわけです。
たとえると、太陰暦・太陽暦のような暦のズレがある、ということです。
対極的な考えではありますが、日本のように「連休長くして、国民が休めたらいいよね!」という趣旨で祝日を変えているのではありません(笑)!
たとえば「体育の日(昔は10月10日、東京オリンピック開会式の日)」。「スポーツの日」に改名した上、連休を長くするために「10月の第二月曜日にしよう!」という気軽さを以てして記念日の日付を変えるという行為は、ユダヤ人にとっては冒涜以外の何物でもないでしょう…。そういう意味では、ユダヤ教の祝日は、過去の祭礼やユダヤ文化の伝統を守っている証でもあります。
イスラエル独立記念日の過ごし方|現地での祝い方や伝統的なイベント
メモリアルデー(追悼日)から始まる独立記念日の流れ
イスラエル独立記念日の前日は「ヨム・ハジカロン(メモリアルデー)」と呼ばれ、戦没者やテロ犠牲者への追悼に国中が包まれます。
29日夜8時、全国でサイレンが鳴り響き、1分間の黙祷を捧げました。テレビやラジオも追悼番組一色です。翌30日の午前11時にも、今度は二分間のサイレンが鳴ります。高速道路だろうがどこだろうが、サイレンが聞こえたら停車して、車から降りて黙禱するのです。
サイレンの音がミサイル警報と一緒なので、ちょっとドキッとします。
【不運】2025年の「独立記念日イベント」、すべてキャンセルに!
そんな厳かな雰囲気も、夜8時まで。そのあと「独立記念日」を祝ってイスラエル各地でイベントが企画されていたのですが…全て中止になりました。
というのも4月30日昼間にエルサレム周辺で山火事が発生!!!海外にも消火活動の救援を頼むほどに広域火災が発生し、幹線道路も封鎖されました。高速道路に車を乗り捨てて避難する人も…。この影響で、国内すべてのメモリアルデーイベントがキャンセルされました。
政府も、この状況を‘National Emergency’として、安全確保を呼びかけています。放火?という説も飛び交い、東エルサレムの住人が逮捕された、というニュースも。なんとも不穏な空気が漂うイスラエルです…。
大気が非常に不安定で、日中は35℃を超える熱波がやってきたイスラエル。自然発火の山火事なのか、それとも…?
それにプラスして、暴風(Sharav)が発生、テルアビブ全域がどんよりとした靄に覆われていて、見通しも空気も悪く、外に出られる状況ではありませんでした。いつ何時も話題に事欠かないイスラエル、さすがです…。
テルアビブのHabima Square。20時からのセレモニーに向けて準備していたのに…中止なのは残念です。(撮影は4/29)
https://www.gov.il/en/pages/memorial-day-for-the-fallen-soldiers-and-victims-of-terrorism-2025
(本来)独立記念日に行われる国民的イベント!式典・花火・パレード
独立記念日の夜には、エルサレムのヘルツェルの丘で公式の国旗掲揚式が行われ、夜空には盛大な花火が打ち上げられます(※戦争後は花火は中止)。
全国各地でコンサートやパーティー、軍や市民団体によるパレードも開催されます。
今年は当日中止が発表されて、準備してきた様々な団体にとって、残念極まりない日だったことと思いますが、なんと!
30日午後8時になったら、地元テレビ局では「ヘルツェルの丘でのトーチ・セレモニー」が放送されてるじゃありませんか!!
お客さんもいて、どういうこと??
あたかもLIVE番組風に、普通に流れてるのですが、、Xで情報を追っていたら、「29日に行ったリハーサルの録画」を流していた模様…。
主要チャンネル数局は全部これを流していて、紛らわしいにも程がある!
この聖火点灯(リレー方式)とスピーチ全員が終えるのに1時間以上かけた、荘厳な式典でした。
厳かなスピーチの前後には、ダンサーや歌手によるショー、カラーガードのフォーメーションパフォーマンスなどが織り込まれていて、オリンピックや万博開会式にも劣らない、壮大なイベントでした!!
このクオリティで国内行事だなんて驚きです。ちなみにこの式典だけでも、テレビで2時間ほど放送されていました。お金も時間も相当費やしているであろうセレモニー、本番を迎えることができなかったものの、リハーサルのクオリティが高すぎて、本番かと思いました。
こんな不測の事態に備えていたのかわかりませんが、まさに備えあれば憂いなしです。火事の最新情報そっちのけで録画ビデオ流す意味は何だ??という声もXには溢れていましたが。本来なら、イベントに出かけて夜通しお祝いする日なのでしょうが、悪天候も相まって静かな夜でした。
私のヘブライ語の先生曰く、昔は爆竹を作って投げて遊んだり、個人的に花火を打ち上げて楽しむ人も多かったのだとか。
年々、環境破壊や騒音が問題になり、そして戦争後は「ドン!」という大きな音がトラウマになったり、PTSD症状を抱える人もいたりするので、打ち上げ花火は取りやめているということです。
大規模な花火大会を楽しめる日本の夏は、平和の象徴かもしれません。
【エルサレム】
https://www.jerusalem.muni.il/en/experience/allevents/safraatzmaot
【テルアビブ】
家庭や公園での過ごし方・マンガル(バーベキュー)の習慣
さて独立記念日といえば、家族や友人同士が公園やビーチに集まり、バーベキュー(「マンガル」)を楽しむのが定番です。
朝から多くの人がアウトドアに繰り出し、開放的な雰囲気の中で楽しく過ごします。
お天気も回復したので、散歩がてらテルアビブビーチに繰り出してみました!
テントやイスを持ち込んで、一家総出でバーベキューを楽しむ人で溢れかえっていました。
少し肌寒いですが、なんのその!海水浴を楽しむ人も。
ジャッファも綺麗に臨めました!
犬も海で大はしゃぎ!
美しい地中海沿岸で、海水浴やバーベキューを楽しむ贅沢な時間だなぁと思います!
ちなみに私個人は何もお祝いしていません…。アウトドアイベントに必須なバーベキューセットも持っていないので、バーベキューをする人を眺めただけです(笑)。
まとめ|イスラエル独立記念日で感じる歴史と希望
イスラエルの独立記念日は単なる建国の祝日ではなく、 ユダヤ民族の苦難の歴史を振り返り、そこから生まれた希望をもって前に進もう、という国の方針や国民の気持ちを確認する日なのだな、と感じました。
「メモリアルデーの厳粛な雰囲気」から「独立をお祝いする祝賀ムード」への強いコントラストが象徴するように、過去は過去で振り返るけど、現在を楽しく生きて、未来へ希望を持っていたい、という前向きな国民性がうかがえます。
「世界から見たイスラエル」は戦争の真っ只中ですし、エルサレム近郊で広域な山火事が起きて甚大な被害が出たりと、「国の窮地に立たされている状況」には違いありません。しかし、「それはそれ」という切り替え(?)も大切にないと、「楽観的に独立記念日を祝う前向きな気持ち」を持てない側面もあると思います。
どんな困難に面しても、決して屈しない強い意志と、困難をしなやかに乗り越え回復する力 (resilience)を持ち、77年間も「国」として栄えてきたイスラエル。ここからまた一年、どんな進化を遂げるのか楽しみでもあります。