PR

【続々・イスラエルの祝日】10月16日~23日は「仮庵の祭り」★「スコット(Sukkot)」について解説!

※当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

【続々・イスラエルの祝日】10月16日~23日は「仮庵の祭り」★「スコット(Sukkot)」について解説! イスラエル入門

ハイホリデーシーズンのイスラエルより、a-box-of-chocolateです。静かなヨム・キプールが終わり、すっかり日常の喧騒を取り戻したテルアビブ。数日前には北部イスラエルの軍事基地にレバノンからのドローンが突っ込み、70名近い兵士が負傷(うち、死者4名)という痛ましい攻撃も起きました。ユダヤ教徒にとって大切な祝日が多い10月も、全く戦争が終結する気配は感じられません…。それでも地球は回ってる、Life goes on, 陽はまた昇る。そんな日々です。

さて、第三・四週目の祝日は、「Sukkot/סוכות」=「仮庵(かりいお)の祭り」と呼ばれるお祭りが1週間続きます。סוכותはסוכהの複数形、英語だとhut,bower、日本語だと掘っ立て小屋、あずまやのことです。16の日没から翌17の日没までが祝日扱いです。お祭り期間は翌週水曜日(23日)日没まで続き、なんとその後はShemini AtzeretSimchat Torahが続くため、16日から26日のシャバットまで実質11日間、祝祭日&安息日が続くのであります…。今日はそんな【Sukkot】についてお届けします。

Sukkot/仮庵の祭り=収穫祭!自作のテント(小屋)を作ってのんびり過ごすホリデー♪

仮庵の祭りは、ヨム・キプールの 5 日後に行われる 1 週間にわたるユダヤ教の祭日です。仮庵祭は収穫を祝う祭であり、イスラエルの民がエジプトを離れたときに神が与えた奇跡的な保護を記念する祭です。私たちは、葉で覆われた小屋 (スカと呼ばれる) に住み、「四種の植物」(arba minim) で仮庵祭を祝います。

Just a moment...

スカ(סוכה)とは、要するに簡易テント、掘っ立て小屋のことです。ヨム・キプールが終わると、各家庭ごとにスカをDIY。仮庵の祭り期間中は、基本的にこの中で過ごす(聖書を読む、食事をするなど、ふだん家の中でしていることを全てこの小屋の中で行う)そうです。イスラエルの10月は全く雨が降らないうえ日中も26℃~28℃とカラッと過ごしやすいので、仮庵の祭りには絶好の季節でしょう。

忙しくて作る時間なんてない!という方も大丈夫。スッカはオンラインショップでも購入可能です(!)

Sukkah Kits for Sukkot - Sukkah for Sale - The Sukkah Store
Sukkahs for Sale - Sukkah Kits, Pop Up Sukkahs, Best Sukkahs for your DIY Sukkah project, Mesh Sukkahs - Fast Nationwide...

購入すると500ドル以上するのですね…!日本のビーチやキャンプ場で見かけるような、ポップアップテントも、スカと見なされるようです。

街中で見かけるスカは、白い布をはりめぐらせたものが多いです。スカの作り方動画ガイドもありますので、チャレンジしてみるのもよいかもしれません?!

ところで、全家庭がスカを作っているわけではありません。信仰が深い人(ふだんからキッパをかぶって白シャツを身につけている人)の住んでいるエリアにはたくさんありました。あとは商業施設の近くなど。テルアビブ市内で見かけたスカの写真を載せておきます。

低層階アパートの間にある中庭のスカ。複数家族でで共用?
基本、自宅の真横に作るのがセオリー。家の目の前でキャンプをする感覚でしょうか?
遊歩道沿いにあったスカ。きちんと木の枝でできている!!
こちらも遊歩道にあったスカ。デコってます。マンションの共用物?
内装はこんな感じ。
折り紙などで作った飾りつけが施されているスカもありました。

今年はShared Home Sukkahというシェアハウスならぬシェア・スカもやっているそうです。戦争の悲しみを乗り越えるために、スカに人を泊めて対話しよう、というプロジェクト。議論好きのイスラエル人らしい取り組みだなと思います。

ユダヤ人の団結(unity)の象徴。”Arba Minim/ארבעת המינים” = 【四種の植物】とは?

スコットの期間中、ユダヤ教徒たちは特別な四種類の植物を使って、シナゴーグやスコットの中でお祈りをします。その四種類(アルバ・ミニム)とは、ヤシ、シダレヤナギ、ギンバイカ、シトロンのことを指します。これらを束にして手に持ち、振ってお祈りするようです。

この4種類は、トーラ(律法)の知識と遵守のレベルが異なる 4 種類のユダヤ人を象徴しています。これらの異なる植物をまとめて持つ=外見や知識上の違いにかかわらず、国家として団結しよう!という意味があるのです。また、それぞれの植物は身体的特徴のシンボルとしてもみなされているようです。以下、それぞれの植物に込められた意味をご紹介します。

ルラヴ
ルラヴ

1.ヤシ(Lulav/Palm) = 背骨。 味は良いが香りのないルラヴは、神聖な学問を追求するが、多くの善行を実行できないタイプのユダヤ人。

アラヴァ
アラヴァ

2.シダレヤナギ(Aravah/Willow) =唇。香りも味もない柳は、トーラの学習への関心の欠如と善行への関心の欠如を併せ持つユダヤ人。

ハダス<br>
ハダス

3.ギンバイカ(Hadas/Myrtle) =目。香りは良いが味のないミルトルは、積極的に善行を行うが、真剣にトーラーを学ぶ時間を決して取らないタイプのユダヤ人。

エトログ
エトログ

4.シトロン(Etrog/Citron) =心臓。 味と香りの両方を持つエトログは、学問と善行を組み合エトる敬虔で学識のあるユダヤ人。

【参照リンク】https://www.rabbinicalassembly.org/story/arbaah-minim

けっこう辛口評価というか、シトロン以外は欠点があるユダヤ人の象徴に聞こえるような…!?ただしひと言で「ユダヤ人、ユダヤ教徒」と言っても、超正統派と世俗派の信条や行動原則を同列に語ることはできないので、この4種類の象徴はけっこう的を射たシンボリズムだと思います。

ちなみに、この四種の植物(ラルヴセット)はどこで買えるか?というと、ラビ(宗教家、指導者)からコーシャセット(戒律を守ったもの)を購入するのだそう。エルサレムではマーケットが開催中。自分で摘んできたり、スーパーのシトロンを買ったりという「冒険」はあまりお勧めではないようです。

ニュージャージー(アメリカ)のユダヤ人コニュニティー。Arba Minim市場はアメリカでも開催されている!

ちなみに、この「ラルヴセット」を使ってどのようにお祈りするのか?というと…特別なテキストを唱えながら、このラルヴセットを両手に持ち、東西南北に向かって、決められた順序・方角・回数振り回して、スコットをお祝いします。

ルラヴ&エトログセットの使い方。

イメージとしては、神主さんが祈祷やお祓いするときに振っている棒(白い布?紙?が垂れ下がっているもの=大麻/おおぬさ)に似ている気がします。あのお祓いのモーションも「どうしてこんなことするの?」と聞かれても…伝統だから、それが儀式だから、としか言いようがないのと同じで、ラルヴセットのモーションも「祝詞を唱えて植物を振る」までがワンセットなのでしょう。「節分になったら豆をまいて恵方巻きを食べる」「七夕になったら笹の葉を飾って短冊に願い事を書く」という季節の伝統行事は、「なんで?」という理屈抜きに、多くの日本人にとって、子どものころから「そういうもの」として馴染んでいるかと思います。ユダヤ教徒のお祭りについて、イスラエルに来るまで一つも知りませんでしたが、こうした季節ごとの伝統行事を大切にしている側面はシンパシーを感じる部分もあり、とても興味深いです。

「仮庵の祭り」が終わったら、再び労働禁止!「喜びの祝日」に突入!

スコットは10月23日の日没までですが、そのまま続けて、別の祝日が始まります。

Shemini Atzeret(シェムニ・アツェレット)

שמיני עצרת – “the Eighth [day] stop”、直訳すると「8日目の停止」。スコットが開始して8日目、労働やラルヴセットも停止。「雨乞いの祈り」が始まる日。

☆Simchat Torah(シムハット・トーラー)

שִׂמְחַת תורָה, ”The joy of the Torah”、旧約聖書の一部である「トーラー(モーセ五書)」を、一年かけて読み終えたことを喜ぶ日。トーラーという巻物を一つ読み終わったこと喜び、シナゴーグで巻物をもってのダンスをする。

超正統派ユダヤ人男性は世俗的な仕事につかず、ずっと聖書の研究に明け暮れている人もいて、女性が現金収入を得られる仕事に就く世帯も多いそう。私はシナゴーグに行ったことがないので、トーラー(巻物)も見たことありませんし、それをもって踊る姿は全く想像がつきませんが…彼らにとってとってSimchat Torahは、節目の祝日でもあるのでしょう。

両日とも毎晩ろうそくを灯し、昼夜を問わずお祝いの食事をしてお祝いする。この二日間をもって、10月のハイホリデーもお終いです。

【参照リンク】https://www.chabad.org/library/article_cdo/aid/4689/jewish/Shemini-Atzeret-Simchat-Torah-2024.htm

宗教と密接な関連がある、ユダヤ教の祝日。スコット期間中はイベントも盛りだくさん!

International storytelling festival や、死海ビーチでの野外音楽フェスエルサレムにある世界一巨大なスカなど、スコットのお祭り期間中は家族で楽しめるイベントもたくさん開催予定です。ヨム・キプールとは打って変わって、賑やかになりそうです。ホリデー最後の二日間が「喜び・祝福」を象徴する休みであるように、楽しいことが盛りだくさんな連休なのです。

ここで思い起こされるのが、2023年10月7日はShemini Atzeretだったこと…。音楽イベント会場で命を奪われた人もたくさんいました。まさか、こんなリラックスして開放的になっているときにテロリスト集団に遭遇するなんて、一般市民は誰もが予期しなかったことだと思います。あれから一年、また同じ祝祭日を迎えるわけですが、遺族や人質の家族の気持ちを考えると、本当に胸が締め付けられる思いです。そして、本当にこんなに大規模イベント(大勢の人が集まるイベント)を開催して大丈夫なの??という不安もぬぐえません。日本人っぽい考え方かもしれませんが、こんな世界情勢から判断すると「自粛」の二文字が頭をよぎってしまいます…。連日のミサイル、ロケット、ドローン、あちこちでの銃撃テロなどが毎日必ずイスラエルのどこかで起きているので、私個人としては、シェルターもない屋外イベントへの参加は見送ろうかなと思っています。ホリデーをホリデーとして、心置きなく楽しめる日が早くやってきますように!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました