【イスラエル駐在1年8か月】二年目のインターナショナルスクール生活!ミドルスクール最終学年(8th grade)について。

こんにちは、a-box-of-chocolateです。今年は戦争が(事実上)終わったからなのか、街中のあちこちで「Hanukah(ハヌカ)のイルミネーション」を見かける12月です。まだまだジャケットも要らないほどの快適な気温が続くイスラエルですが、季節は確実に移り変わっているなと感じます。

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さてさて、今回の記事では久しぶりに学校のことについて書いていきたいと思います。8月中旬から始まった新学期、通学期間としては約4か月経過しましたが…

  • 9月20日~24日(ロシュ・ハシャナー)
  • 10月1日~14日(ヨム・キプール~スコット)
  • 11月27日~30日(サンクスギビング・ホリデー)

以上の通り、毎月毎月連休があるので(10月に至っては2週間も!)、果たして何日学校に行ったのでしょう?そして12月19日から冬休みです。休みすぎ?というか、逆に日本の学校の先生&生徒は働きすぎなのかもしれません!

ミドルスクールも最終学年(8年生)なのに、こんなにゆる~い学校生活で大丈夫なのだろうか?という不安は未だにぬぐえないでいるのですが。「学校から与えられた課題だけやっているのが人生じゃない!」という境地に達して行動に移していく=課外活動を充実させることが、「学生生活を充実させる要素」だというメッセージを感じ始めています。

「テストの点数」「与えられたグレード」が全てではない、というアメリカの教育。自分で自分の成長を感じられる環境とは。

中高生の子どもがいるご家庭にとっては、子どもの学校生活での一番の懸念事項はダントツ「成績」、という場合が多いのではないかと思います。定期テストの点数、順位、通知表の評価、内申点、検定試験、模試、高校進学、大学受験、etc, etc,,, どこまでいっても「数字で見える成績」が学校生活で頑張ったことに対する「目に見える評価」で、「子どもの学力面での成長をはかる物差し」になりがちです。「合格が不合格か」「pass or fail」、白か黒かがすごくハッキリしている。そういった側面は、日本やアジアの教育的価値観の根底にあるものだと感じます。

今、子どもは8th grade、(アメリカンスクールでは)中学校最終学年を迎えています。日本の中学三年生が全力を出すことといえば「高校受験」ですが、アメリカの教育制度では高校も義務教育なので、8th→9thに進級するにあたって、「入試」は存在しません。そのおかげで受験というピリピリした空気は一切ないので、学校でも家庭でも毎日のんびり楽しく過ごすことに全振りしても、まったく支障はなさそうです。(良くも悪くも)

「結果」よりも「プロセス」重視の教育

過去記事でも何度も述べていることですが、学校が大事にしている価値観ダントツナンバーワンが、【growth mindset】。成長志向の考え方を育てることなのです。努力してもどうせ無駄、才能がないからできない、ミスして批判されるのが怖い、だったらやらないほうがマシ。こういった【fixed mindset】の対極の考え方を身につけることを、生徒たちに期待しています。

たとえば、小テストや単元テストでD(60%)やF(50%以下)を取ってしまった場合。この成績が積み重なった場合、日本の中学校だったらおそらく通知表は「五段階で2か3」になるだろうな~と、生徒自身も予想できてしまうと思います。

しかし。インターではほぼ全ての場面で【セカンド・チャンス】が用意されています。一度失敗してしまったことに対して、子ども自身が再度努力して、挽回できる救済措置が用意されているのです。

すなわち、テストとは「勉強の過程で身につけたことが定着をしているか、を測る手段」であり、その結果は「まだ身につけられていないこと」を示すインディケーターに過ぎないのです。まだ理解できていないことがわかったのだから、再度努力を重ねて、次はできるようになっていれば、それでよい=成長した、ということを子どもも実感できる、ということです。

よい結果が出ないということは、その過程が間違っている。わからないなら友達に聞く、先生に確かめる、同じ問題をもう一度解いてみる。自分ができていない原因を探ることが大事で、できない自分が悪い、能力が足りないわけではない。

そういうメッセージを受け取り続けたら、子どもの自己肯定感は高まっていくのは自然なことだろうな…と、わが子を見ていて思います。

保護者と先生の距離感

現在のミドルスクールの校長は非常に熱心な先生で、保護者向けブックスタディを自ら取り仕切ったり、校長なのにホームルームティーチャーも自らやったりと、とにかく子どもにも親にも積極的に関わっていこうとする人です。日本の中学校の校長先生って、名前もぼんやり覚えているような…程度の関りが薄い存在ですが(失礼)、それと比べてしまうと、もはや圧倒的存在感で親しみやすいのです。行事のときは入口で保護者を迎え入れていますが、親の顔と名前もほぼ全員把握しているツワモノ。理想の教師だな~と思います。

先生が、自分のことをしっかり理解してくれている。

この事実が子どもに与える安心感は、学校生活を送っていくうえで一番の礎であり、それを体現しようとする先生たちの姿勢は本当にすごいなと思います。

すなわち、親も親で学校へのコミットメントが求められるということの裏返しでもあるのですが(PTA然り、ボランティア活動然り)。ハロウィンやクリスマス、コーヒーモーニング、あらゆる行事は全てPTAの協力と保護者の自主的なボランティア活動や寄付金によって支えられているので、学校側が子どもの面倒をみて当然、という今の日本の風潮とは真逆というか、まるで自分が小学生だった頃のような雰囲気です。

日本の学校で共働き家庭のPTA参加は非常に負担が大きくて(私も経験あり)、こんなのなくしてしまえば?と思うことも多々ありましたが、、、まだまだアメリカには、親や地域を巻き込んで学校運営をする=よい学校、という評価項目があるように感じます。

ただ一つ、非常にアジア人的な発想でモノ申しますが…。自宅で料理したものを児童・生徒が持ち寄ってランチ会やお誕生日会をする、というところだけは、本当にハラハラします。

アレルギーは?衛生管理は?食中毒とか起きたらどうするの?そもそも検便もなしに素人が作ったものを学校でサービングしていいの?などなど。細かいことを気にしてたら何もできないよ!大丈夫さ~!という寛大な心でいろ、というメッセージですね。(たぶん違う!)

学業成績よりも、ボランティア活動や課外活動の実績重視

さて、親のコミット量からもお分かりのとおり、学校運営や子どもの学校生活が「充実したもの」になるかどうかは、学業成績や結果「以外」のところにこそ真髄がある、ということです。

日本の中学校のように、固定の部活や強制的な放課後アクティビティがあるわけではないのですが、自分の「アフタースクール」をどうやって過ごすのか、というところにこそ、子どもの人生を豊かにするものが詰まっている、という発想です。

放課後の活動としてスクールキャンパスで参加できるもの(注:有料)は、

★各種スポーツ(週2)

★ロボティクス(ロボコン参加を目指すロボット工学集団)

★MUN (Model United Nations、学生模擬国連)

★Student Union (生徒会的なもの)

★Drama project

★GAIA project (地球環境保護)

などなど。

特にロボティクスはものすごく強いチームで人気も高く(高校生メイン)、大学入試やスタートアップ企業でのインターンシップにも有利になるそう。その分、参加費用(年間3,000シェケル、約15万円)も高額、親の努力(夜遅くなってからのお迎えや土日の送迎、遠征帯同)も必須です。

ちなみに我が子の学校は私立のインターナショナルスクールで、イスラエルの中でもぶっちぎり高いので…そもそのも学費も、(学校区分によりますが)年間600~700万円します。さらに放課後アクティビティにも万単位の参加費を要求されるのです…。

筆者

日本の公立中高の先生たち、ボランティア活動で部活やってる場合じゃないです!!

わが子はスポーツクラブしか参加していませんが、子どもの興味・関心に合わせて多種多様な選択肢があるのはありがたいです。学校外で英語で行われる活動を探すのも一苦労ですし、それに何より、こうした活動に「自ら参加する」積極性こそが求められています。

出る杭は打たれない。

私が一番素敵だなと感じるインターナショナルスクールの雰囲気は、「頑張っていることを誰もが認める」空気感です。さらに言えば、やりたい人は頑張ればいい、やりたくない人にはやらなくてもいいという「選択肢」があることです。全員が○○をしろ、という強制発動も時にはありますが、基本的には「自主的な選択によって」活動にコミットする、というところが肝だと思います。そして、あたかも生徒自らの意志・判断で選択した、と思わせるところにまでもっていく先生たちの技量もすごいなと思います。

子ども同士の牽制、他者との距離感の掴み方など、社会性を身につける第一歩を学ぶ場としての「ミドルスクール」。現代っ子は、私の世代以上に辛いことが多いと思うのです。それでも、学校全体の雰囲気が「自分で努力して成果を出している子を認め、褒めて伸ばす」ことに全振りしているので、そこに追随しようという活力を感じることができる点には、非常に希望がもてます。

もはや親がフォローできる範疇を超えている。8th gradeの学習内容とは?

さて、学校の方向性や雰囲気について色々と綴ってきましたが、果たして「中学校最終学年」で何を学習しているのか?という点について。

昨年度(入学一年目)は、私も子どもの勉強の進捗状況について細かく把握していましたし、時折課題を一緒にやることもありました。しかし!今年は基本的に何も見せてもらえない&何をやってるかも教えてくれないので、勉強内容はさておき、本人がどの程度理解しているなど知る術もない状態です…。なんというか、「親には学校の詳細を話さない、普通の中学生」になりました。本人も学校に慣れて、自分でやりくりできるほどに成長した、ということにしておきます。(笑)

というわけで、散らばっていたプリントから抜粋です。

数学(math)

Algebra (代数)を学んでいます。まさかのAdvanced classに配属されてどうなることやら…と思ったのですが(Algebra 1は9th gardeで履修するみたいです)。

等号、不等号…中一か中二の数学…?「大なりイコールって何?」って子どもにツッコまれました。ついに、英語でしか知らない単語(greater than or equal to)が出てき始めたようです。私はこのプリントを見て、初めて英語での言い方を知りました。

ちなみに、夏のMap Testでも数学無双だけは続いていました。

そろそろ日本時代の算数知識のストックはなくなり、英語だけで学ばないといけないことが増えていると思うのですが…。本人も「数学はできる」と自己肯定感爆上がりしているので、それでよしとします。

科学(Science)

7thのときは生物メインでしたが、今年は物理の基礎。元素記号のあれこれについて学んでいるようです。(この内容は、日本の理科の教科書にも載っているかと思います)

筆者

水兵リーベ、僕の船。ナ・曲がるチップス、クラークか。

しか覚えていない、アホな親でごめん…!!

私は理系科目が得意じゃないのもあり、もはや日本語ですら教えてと言われても教えられる自信がないところまで来ました。わが子よ~自分で頑張れ!!

人文科学(Humanities)

英語での「作文の基礎」「文法」のようなことを長らくやっているようです。いわゆるwriting。このプリントは、claims (主張)を強調する効果的な書き方について。私がこんな技法や作文方法を知ったのは、大学以降です…。

中学校レベルの英語ですら、「専門の教科の話」になると私も知らない言葉だらけです。中高の教科書の内容は、日本語(母国語)ですら難解に感じたこともあったので、それが外国語となれば、理解するためのハードルはさらに上がります。

しかし、最初の話に戻りますが、「完璧に暗記していること」が重要なのではなく、「習った知識を定着させて、何ができるか」というプロセス重視の教育です。たとえばこの物理の知識やライティングテクニックを応用して、サイエンス・フェアーというプロジェクトにどう活かせるか?という包括的な学習こそが重視されています。

水兵リーベ、で、それってなんだっけ?という暗記テクニックしか覚えていない私こそ、暗記しかしてなかったのだなと痛感させられるのです…。

「なるようになるさ♪」という前向きなgrowth mindsetで、温かく見守る!

二年目のインターナショナルスクール生活は、何より子ども自身に余裕が出て、安定した学校生活を送れるようになりました。土日の部活もないし、長期休暇もたっぷりあるので心身の疲れを貯めることもなく、めちゃくちゃのんびりしています。

日本語キャッチアップのために補習校に行くこともないし(存在しない)、通信教育をやるでもなく(スタサプは3日で退会)、ユーチューブで日本語に触れているから大丈夫だと言い張るわが子…。それもまた人生!

このブログを綴っていて思い出したのですが、私の交換留学時代の成績は、ほぼ全部AまたはA+だったのです。寝坊し過ぎてほとんど行けなかったchoirだけCでした。(笑)

日本からの留学生で、英語はネイティブとは比較にならないほどわかってなくて、エッセイやレポート課題に特別素晴らしいことを書けたわけではなかったと思います。

いま、わが子を見ていると、そのときと全く同じ感情がわいてきて、「これは非ネイティブへの忖度なのか、それとも頑張りを最大限に評価してくれているのか?」と常々思ってしまうのです。英語レベルで全て評価が決まるとしたら、どう考えても全部DかFなのでは?と思うのですが、そうではないので。ひねくれた考えかもしれませんが、「提出物の完成度の高さやテストの点数」でばかり評価されてきた(してきた)自分の物差しで測ると、本当の子どもの姿って、見誤ってしまうのかもしれない…と痛感します。

何を隠そう、ここはイスラエル。現地校の子どもたちは小学校から高校まで、毎日(日~金まで)13時下校。昭和世代には当たり前の土曜半ドン・ライフ×週6です。そしてインターナショナルスクールですら、15時一斉下校。子ども価値や成長は学校にいる時間の長さではで決まらない、ということを体現しています。

きっと今できていないことも、明日には、来月には、または来年にはできるようになっているといいな!という、超長い目で見守っていくしかなさそうです。

性急な結果ばかり求められがちな日本の教育から脱落気味の我が子、大丈夫かな~と不安なことも多いのですが…「今はいま」として私が私の生活を楽しんでいるように、子どもの学校生活も楽しいと感じているようだったら、それでいいか!と思っています。

アメリカ式がいいとか、日本式のほうが優れているとかではなく、世界にはいろいろな価値観と教育方法があって、両方を知って体験できているだけでも、子どもの成長には欠かせない要素になっていると信じたいです。それを可能にしてくれる駐在生活に、親子で感謝しないといけませんね。

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