【ドル払い副業その後】さらなる専門性が求められる、Outlier。だれでも出来るAIトレーニング&アノテーションは収束の予感。

スタートアップ企業大国、イスラエルよりこんにちは。a-box-of-chocolateです。イスラエルは今日から「ユダヤ新年(ロシュ・ハシャナ)」の祝日期間が始まり、10月の大型連休を前にホリデームードが漂い始めています。昨年のロシュ・ハシャナはイランからの弾道ミサイルで攻撃されたという…私にはトラウマ的な思い出しかない連休です…。

さてさて、生成AI、サイバーセキュリティ、バイオメディカル、さらにはミサイルの迎撃システム、ありとあらゆる”ハイテク産業”に通じているこの国で暮らしていると、ちまちまと【データアノテーション】で小銭を稼いでいる駐妻の私なんて、下っ端中の下っ端でしかないのだろうなぁという気分です。

このブログには「outlier タスク 仕事」といったキーワードでたどり着いてくださる方もいるようなので、その後のoutlierの状況、私の取り組み具合についてまとめてみたいと思います。

【Outlier】2025年9月現在、タスクが与えらえる人=エキスパート、スペシャリストのみ!?

2025年2月頃にoutlierに(興味本位で)登録し、楽しくお小遣い稼ぎに励んでいた私。

最初はデータアノテーション系のライティングの仕事がたくさんありました。その後、春以降は音声系のデータ提供タスクが活況となり、6月のイラン12日間戦争のときもタスクが潤沢にあって、(珍しく)静かなテルアビブでいそいそとマイペースにタスクに取り組んでいました。

しかし、5~6月頃からライティング系の仕事は激減。その大きな原因は、Meta PlatforrnによるScale AI (Outlierの親会社)への巨大出資のタイミングと重なる気がします。

ざっと前置きしておきますと、ChatGPT(Open AI)、Gemini(Google)、Grok(xAI)など、ふだんの生活に浸透している生成AIもScale AIの顧客でした。(過去形でよいかはさておき)すなわち、各社が開発する生成AIの「トレーニング(教育)」「アノテーション」支援を中立な立場で行っているのがScale  AI社で、Outlierのフリーランサーたちがその仕事を請け負っている、という構造でした。

【背景】Scale AIと競合他社との関係性の変化により、Outlierへの仕事が激減中?

AI業界で存在感を増していたScale AIですが、上記のようなニュースが出始めた6月以降、Googleとの関係悪化やセキュリティ問題で、大きな揺らぎが出ています。  

Googleとの関係悪化が引き金に

これまで、Scale AIはGoogleの最大顧客として成長してきました。  

ところが2025年になり、MetaがScale AIと大型提携を結び、「優先供給・共同開発・割引価格」という破格の条件を手に入れます。同時にScale AI創業者でCEO、アレクサンダー・ワン氏もMetaに引き抜かれ、同社の最高AI責任者になりました。

そのタイミングでScale AI社はフルタイム従業員200人、つまり従業員の14%を削減。社内の人事面で大きな動きもありました。

当然、Googleとしては「ライバルに特別対応されたらリスクが大きすぎる」と判断。  

結果的にGoogleはScale AIへの依存を減らし、自社TPU開発や他社からの調達へシフトを始めました。  

これで自動的に、Scale AIに流れ込むGoogle案件が減少。その下流にいたOutlierへの仕事も、目に見えて少なくなっていったわけです。  

ちなみにGoogleだけではなく、Open AIもMetaとの業務提携を機に協業を縮小、打ち切りに向かいました。

セキュリティスキャンダルで追い打ち

さらに悪いことに、Scale AIは「数千件の機密文書を外部公開したままにしていた」というセキュリティに関わるスキャンダルまで流出。  対象にはGoogle・Meta・xAIに関連する文書まで含まれていたとされ、業界全体に「大丈夫なの?」という不信感が広がる原因となってしまいました。  

参照記事にもあるとおり、共有Googleドキュメントを使用するこのシステムはScale社では一般的であったものの、よりにもよってGoogle社の共有ドキュメント機能からスキャンダルが発覚…。

この一件でもまた、Scale AIへの新規発注や大型契約も慎む傾向が広がったと見られ、やはりその下流のOutlierへの委託案件も急ブレーキがかかりました。  

Outlierにとっての現実

従来、Scale AIからOutlierに回ってきていたのは、  

– 大規模アノテーション作業  

– データ処理  

– モデル品質を支えるファクトチェック  

– 生身の人間の”声”や”話し方”による音声や会話学習

といった「AI開発の裏方部分」。これらは案件の規模が大きければ膨大な量が外部に出てくる仕事です。  ところが今は、発注元であるScale AIの手持ち案件が減ったため、外部振り分けの余地自体が小さくなっている…というのが実情だと思われます。  

「Outlierならではの技術と人材リソース」があっても、肝心の案件が来ないなら、「フリーランサーが受注できる仕事がない」という悲しい現実です。

つまり、「とある言語のネイティブスピーカー/ライター」で、「英語が理解できて仕事ができる」だけでは、もはや振ってもらえる仕事自体が存在しない、というわけです。

【現在募集中のポジション】英語プラスアルファ、何か売り込むポイントが必要!

2025年9月現在、まだOutlierでの有効求人もあります。が、そのポジションはかなり具体的な能力を持つ人に限定しています。

たとえば「ライター」。現在応募可能なのはSTEM writer(かつ特定の言語)のみです。STEM(ステム)とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学) の頭文字を組み合わせた言葉で、これらの分野を統合的に学ぶ「STEM教育」を指します。

日本在住者として応募可能なポジションも同様で、物理・生物・化学のエキスパート、すなわちその分野の学位(修士、博士含む)を持っている人にはまだチャンスありです。またはグラフィックデザイナー。(詳細はこちら、公式ホームページでご確認ください。)

理系分野の専門家で、かつ流暢に英語を用いることができる人のみに開かれた、狭き道です。

これまでの膨大なデータ提供の果てに、一般的な言語処理能力や一般会話などは、すでに獲得済みだということですね。これから生成AIに学ばせたいのはさらなる専門知識なのです。

低品質=プロジェクトからのリムーブ(経験談)

さて、ここから先は私個人の体験談です。

上記のような親会社(Scale AI)に起きた一連の出来事の影響は感じたものの(タスクがない時間が長い)、6月まで携わっていたプロジェクト以降も、何かしら「タスクが出現する」状況ではありました。日本に一時帰国していた時期は「選択的にタスクに取り掛からない期間」ではあったのですが(このように自由に選択できるところが魅力)、イスラエルに戻ってきた後も、ポツポツとオンボーディングの案内(適正テストを受ける機会)はありました。

まず第一に、その適正・確認テストに落ちるとタスクがない。それは当然です。

そして次に、プロジェクトメンバーとして参加できても、クオリティーチェックの基準に満たないとプロジェクトから外されます。

守秘義務があるので詳細は書けませんが、私はとあるプロジェクトでタスクを数個提出したあとに、「低品質」を理由に即リムーブされました。個人の体感ですが、以前よりも品質チェックが厳しくなっていて、その道のエキスパート以外は不要です、という三行半を突き付けられた気分でした。

タスクの質担保はもちろん、制限時間もかなり厳しくなる中、「高品質な納品を一定数できる人」「効率よく仕事を裁ける人」だけが生き残れる、そんな「専門家集団」に舵を切っているのだな…と痛感しました。(私がリムーブされたのは、完全に実力不足です。)

【まとめ】生成AIの成長スピードに乗り遅れないためには、自分だけの「強み」が必要!

単純作業のアノテーションも、母国語で会話するだけの音声系のプロジェクトも、膨大なデータを集めた結果、生成AIは既習済み案件となっているので、もはや私の知能同然、またはそれ以上に賢いモデルもたくさん誕生していることでしょう。

人間の赤ちゃん以上のスピード感で成長していくAI、そしてそれを取り巻く大手各社の競争は、つむじ風がかけぬけていく、いや、もはや台風のような速さであり、「ドタバタと過ぎ去った」「置いて行かれた」という感覚がぬぐえません。

2025年もあと3か月少々ですが、私がoutlierを始めて1年も待たずして、仕事の増減がこれだけ予測不能な事態になろうとは。元々タスクの安定供給は全く見込めないと思っていて、やれるときにちょこちょこやれたらラッキー、くらいの心づもりでしたが…

「だれでも簡単にドルで稼げる仕事」という一大ブームが巻き起こり、ピークが過ぎ去るまでのスピードは、「一時的な流行」として認識してもいいのかな?というくらいの短いスパンでした。

収入面では非常に不安定、不確実なものの、私としては新しいことにチャレンジ出来て面白かったですし、ちょっとしたお小遣いとしては十分稼ぐこともできたので満足です。これからも、私の身丈に合った仕事があれば続けていきたいものですが、、、今から数学や物理のエキスパート、コーディングができるエンジニアになるのも無理ですし、私はそこに「自分の強み」を求めることはできません。

ちなみに、こんな私でもまだ「利用可能なプロジェクト」の案内は来るので、仕事がゼロではないことは強調しておきます。(が、積極的にオンボーディングしていないだけです。)

世の中が求める「トレンド」に乗ることも大切ですが、結局のところ、コツコツと積み上げてきた学力、経験がものを言う。かといって、たとえば博士まで積み上げてきたものを、時給60ドル前後でAIに教えてあげる、というのが妥当な金額なのかも、正直わかりかねる部分があります。

AIよりも賢い人間の数が減ってしまう日も近づいているのかなと思うと、ちょっと恐ろしいですね。

おまけ:とにかく単純作業で小銭を稼ぐなら、clickworker!

外貨稼ぎ、というよりはもはや小銭稼ぎ、という観点(感想)に近いですが、アンケート調査サイトのclickworkerは、コンスタントに案件があります。UHRSの単純作業は、私はすぐ飽きてしまって最近全く取り掛かっていないのですが…「来るか来ないかわからない仕事」を待つよりは、「大量にある単純作業を膨大にこなす」ほうが、確実に収入は発生します。

クリエイティビティを求める人、専門性が高い人には圧倒的にoutlierをおすすめしたいですが、UHRSにて空き時間にちょこちょこ作業すれば、まさに塵も積もれば山となる…?!

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