【停戦中!イラン戦争】イスラエルは戦争中なのに、歴史的シェケル高!為替レートと物価高に悩む駐妻の素朴な疑問

こんにちは、a-box-of-chocolateです。戦争開始から50日目を迎えました。4月8日にアメリカ・イランの停戦(2週間)が発表されて以降、テルアビブではサイレンが鳴らない穏かな日々が続いています。そしてイスラエル・レバノン(ヒズボラ)の間も、とりあえず10日間の停戦が決まりました。ちょっと一休み、レベルの停戦合意なので、国全体としては「戦争が終わった」という認識には程遠いです。そもそも停戦に反対するイスラエル人(ユダヤ人)の方が約40%、停戦を尊重すべきという人も約40%。世論も割れています。

戦争勃発(2月28日)以来、結局ずっとテルアビブにとどまっているのですが、最近ずっと気になっていることがあります。それは、戦争中なのにシェケルの価値が全く下がらないことです。それどころか、日に日に進む【ドル安シェケル高】、【円安シェケル高】!
国内外の安全面に不安もありますし、航空便縮小、エネルギー不足など経済への影響も小さくないはずだと思っています。なので最初は「さすがにシェケルはもっと下がるのでは」と思っていました。
でも実際には、思っていたほど崩れません。むしろ、ドルをシェケルに替えるたびに「今日もこんなにシェケル高いのですね…!」という気持ちになります。

5年前(2021年4月)は1シェケル33円だったのですが、2026年4月現在、ついに53円台に…!1ドルあたりのシェケルの価値も3シェケルを下回るなど、急激なシェケル高が進む一方です。
駐在員泣かせのシェケル高!今回の記事ではその原因について綴っていきます。
目次
戦争中なのにシェケル高になる理由
わが家は日本からの駐在家庭ですが、夫の収入はドル建てです。けれど、生活はもちろんシェケル。家賃もスーパーでの買い物も、そして子どもの学費も、日々の支払いはシェケル。人口1000万人未満の国でのみ流通している貨幣なのに、その価値は爆上がり。
ドル収入家庭にとっては、シェケルが強いと、同じ収入でも現地通貨に替えたときの金額が減ってしまいます。数字だけ見ると少しの差に見えても、毎月の家計ではかなり響くのです。
戦争中で、しかも不安定なニュースが続いているのに、為替はそこまで大きく崩れない。このズレが、ずっと不思議でした。むしろドル安・円安は進行する一方で、頭の中で円計算すると、日用品や食材すらも購入できない(したくない)水準にまで至っています。
私は経済の専門家ではありませんが、自分なりに少しずつ調べてみることにしました。
シェケル高とは?まずは為替の見方を簡単に整理
まず、シェケル高というのは、1ドルを買うのに必要なシェケルが少ない状態のことです。
たとえば、1ドル=3シェケル前後なら、シェケルが強いということになります。逆に、1ドル=3.5シェケル、3.6シェケルと上がっていくと、ドルのほうが強くなり、ドル建て収入の家庭には少し助かります。つまり、わが家のようなドル建て家庭にとっては、シェケル高はそのまま生活費の圧迫につながりやすい、ということになります。
テルアビブ市内のカフェで購入できるコーヒーを例に挙げてみます。アイスコーヒーやカプチーノの値段は、だいたいのお店で16~18シェケルです。
1ドル=3.6シェケルなら、18シェケルのコーヒーは5ドルで購入できますが、3シェケルになると6ドル必要です。(アメリカのカフェ事情がわかりませんが、イスラエルだとこの価格が一般的です。)
それを円計算してみましょう。
現在のレートでは、1円=0.019シェケル、すなわち100円=1.88シェケルです。通貨を逆にすると、1シェケル=53円。つまり、18シェケルのコーヒーは954円する、という計算になります。40円だったころでさえ、コーヒー1杯720円は高いなと思っていましたが、もはやちょっと気軽にカフェに行くのすら躊躇われる価格に跳ね上がっています。

ドトールのアイスラテ(M)の2倍以上の値段です(涙)(味はほぼ同じ!)
戦争中なのにシェケルが下がらないのはなぜ?調べてみてわかったこと
これだけ国際情勢が不安定になったら、通貨は下がるのでは?と思っていました。しかし、どうやら「戦争が起きているから」という理由だけで通貨の価値はは決まらないようです。
① イスラエルには外貨を稼ぐ力がある!
イスラエルは小さな国ですが、ハイテク、サイバー、医療、研究開発、スタートアップなど、海外からお金を呼び込みやすい分野が強いと言われています。
生活していると物価の高さばかりが気になってしまいますが、為替の世界では、こうした産業の強さがシェケルを支える要因になっているようです。
海外から外貨が入ってくれば、それがシェケルに替えられる流れもあります。そのため戦争というマイナス材料があっても、思ったほど一方的には下がらないのかもしれません。
例えば、Googleは2026年3月、イスラエルのクラウドセキュリティ企業「Wiz(ウィズ)」を約320億ドル(約4.8兆円以上)で買収完了したと発表しました。Google史上最大規模の買収先の会社が、テルアビブにあるスタートアップ企業ですから…。創業者4人も、これで億万長者の仲間入りです。
Wizが代表するように、ハイテク企業を中心にイスラエルへの外国投資は急増しており、2024年には約250億ドル、2025年には約390億ドルに達しています。この資金の多くはシェケルに両替されるため、現地通貨への需要がさらに高まっていくのです。イスラエルに流入する大量のドルはシェケルに両替され、現地通貨の強化につながっている―という循環が生まれています。(出典はこちら)
② ドルがいつでも強いとは限らない!
今回のイランとの戦争では、アメリカも深く関わっているのに、なぜドルのほうがもっと強くならないのだろう?と不思議に思っていたのですが、ドルはドルで別の材料で動いているようです。アメリカの金利や景気の見通し、今後の政策への予想などさまざまな要素があるため、イスラエル側に不安材料があっても、同時にドルが特別強くない局面なら、結果としてシェケル高に見えることもあるようです。トランプ氏の迷走?暴走?も、ドルが弱くなる一端を担っているかもしれません…。
③「シェケルが急に強くなった」のではなく「売られすぎたところから戻ってきた」


そもそも、1シェケルあたりのドルの価値はいくらくらいが適正なのだろうか?と思い、過去の為替も確認してみたのですが、私はこのグラフを見て少し見方が変わりました。
「なぜこんなにシェケルが強くなったのだろう」と思っていたのですが、実際には2023年10月に勃発したハマスとの戦争直後に急落したシェケルが、時間をかけて戦争前の水準近くまで回復してきた、という動きに近いようです。
調べてみると、回復の背景にはいくつかの要因がありそうでした。
- 戦争が長期化しても、経済が完全には止まらなかったこと
- ハイテクなどイスラエルの輸出産業が思ったより持ちこたえたこと
- 市場が「最悪のシナリオにはならないかもしれない」と判断し始めたこと
- 米ドル自体が弱くなる局面があったこと
これらが重なって、一度売られたシェケルが買い戻されていったようです。
それにしても!1ドル3シェケルを下回るのは、1995年以来、31年ぶりだそう。
シェケル高のメリットとしては、イスラエル人にとっては海外旅行費用が安く抑えられること、輸入品の価格が下がることでしょうか。一方で、ドル建て企業や輸出メインの企業、海外市場での製品販売に力を入れている企業には大打撃です。
イスラエルを象徴する言葉、レジリエンス(regilliense)。人々の性格も、生活様式も、そして企業や国家の在り方も。すべてこの言葉に象徴されるように、とにかく回復力や耐久性が高く、めげない!!すごい国に駐在しているのだなぁと、じわじわ実感します。
シェケル高でもイスラエルの生活が楽にならない理由
ここまで書いてきたことは、あくまで「なぜシェケルが高いのか」を自分なりに調べた結果です。でも、それと生活のしんどさは別問題だと感じています。実際に暮らしていると、スーパー、日用品、外食、家賃など、あらゆるものが高いです。一つひとつは小さく見えても、積み重なるとかなり重く感じます。
シェケルが強いと聞くと、外からは「経済がしっかりしているのかな」という印象があるかもしれません。しかし生活者としては、通貨が強いことと暮らしやすさはまったく別だと感じます。
ドル建て家庭としては、シェケル高が続くと本当に辛い!
わが家にとって、為替はニュースではなく家計の話です。同じドルを受け取っていても、為替次第で使えるシェケルの額は変わります。その差は月単位で見るとかなり大きく、生活の余裕に直結します。
私にとってシェケル高は、「イスラエル経済が強いのですね」という話ではなく、「今月の生活費がまた厳しくなるかもしれません」という話なのです(涙)理屈を知れば少し納得はしても、やはり気持ちとしては複雑です。
たとえば、月に5,000ドルの収入があったとします。
- 1ドル= 3.0 NIS (2026年4月) = 15,000 NIS
- 1ドル= 3.7 NIS (2025年4月) = 18,500 NIS
同じ収入だったとしても、$⇔₪のレート次第でこれだけの差が生まれます。月に3,500 NISの差だとすると、一年分(12か月)のお給料で計算したら42,000NIS!金額にして2か月分以上の手取りを損したことになるのです。42,000NISを円計算すると、実に220万円以上の差額が生まれるのです。レートの違いで、手取りが大きく増減してしまう暮らし、本当に辛いです…。
アメリカンスクールの支払いも請求はシェケルですが、学費の補助はドルなので、あれれ?持ち出し金額いくらかな?という計算したくない現実が押し寄せてきます。ハイパーインフレが続く学費は、来年度は年額17万シェケルを突破予定。日本円にして900万円以上…学費がほぼ1000万円というセレブ学校になってしまい、イスラエルで暮らしていける気がしません(涙)

イスラエル最安値スーパー、Osher Adですら、安いと感じられない生活です…。
ちなみにこの日買ったものは、185.43NIS (9,847円)だったのですが、内訳は以下の通りです。
- フェアリー食洗器用洗剤(ジェルボール60個入り) 69.90 NIS (3,712円)
- 白米 (1kg) 14.90 NIS × 4 = 59.6 NIS (3,143円)
- スモークサーモン(100g) 14.8NIS (789円)
- パストラミハム (110g) 13.9 NIS (738円)
- バニラアイス (1.4L) 20.9 NIS (1,109円)
- 玉ねぎ(大)4つ (1.2kg) 6.23 NIS (331円)
食洗器洗剤の値段がおかしい!1万円あってもこんなちょっとしか買えません…。日本の物価高も叫ばれる一方ですが、イスラエルに比べたら日本なんてまだまだ格安の国です!!

ちなみに、ちゃっかりガソリン代も値上げされました。3月末まで7NIS少々だったのが、いまやレギュラーガソリン1L、8.05NIS。リッター427円(セルフ価格)です!有人レーンだと8.30NIS、440円。車に乗ってどこかに出かけるのすら躊躇われるレベル。
まとめ|戦争中でもシェケル高が続くのは、戦争以外の要因も大きいから!
今のところの私なりの理解では、戦争中でもシェケルが高いのは、戦争だけで為替は決まらないから、ということになりそうです。
イスラエルには外貨を稼ぐ力があり、さらには中央銀行(Bank of Israel)への安心感もあるので(金利4%据え置きなどの措置を行っています)、市場はニュースの重さをそのまま反映するわけではない。さらに、ドルにもドルの事情があります。
そう考えると、「戦争中なのにシェケル高」というより、「戦争というマイナスがあっても、それだけでは崩れないだけの要因がある」と考えたほうが近いのかもしれません。あまり政治的な要素を盛り込みたくはありませんが、これだけ派手に戦争をあちこちで展開しても、イスラエルには国際的な経済的な制裁もありませんし、むしろ防衛システムやサイバーセキュリティ関連の業績好調で、飛ぶ鳥を落とす勢いのイスラエル企業。強すぎます…。
とはいえ、生活者としてはやはり複雑です。理屈はわかっても、家計が楽になるわけではありません。最終的な解決策はベジタリアンになって、肉や魚類を一切買わないことかもしれない?とすら思い始めています。(やりませんけど。笑)
イスラエルでの生活費が高い、という水準が桁違いに高い、ということを、お分かりいただけたでしょうか。今日も粛々と節約生活に励む駐妻なのでした。

